難民及び移民に関する国連グローバル・コンパクト

  • Media

第2次世界大戦以来、故郷を離れることを強いられる人々が最多の数に達する中で、2016年9月19日、国連本部に集った世界のリーダーは「ニューヨーク宣言」を採択し、難民と移民の権利を守り、人命を救うとともに、世界規模で生じている大規模な人の移動に対する責任を共有するという政治的意志を表明しました。そして、2018年の12月10日に「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」、また12月17日には「難民に関するグローバル・コンパクト」が採択されました。

ハンガリー・セルビア国境を進む移民(2015年)/ Wikipedia

フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「難民の大量流入は、もはや受け入れ国だけで対応できるものではない。難民危機は世界で責任を分担すべきであり、”難民グローバル・コンパクト”には、今日の分裂した世界がどう連携していくべきかが示されています」と訴えます。「1951年難民条約」に代表される現行の国際的な法制度、人権、人道法に基づいており、法的拘束力はなく、難民支援における連携を進める指針となるものです。

「安全で秩序ある正規移住のためのグローバルコンパクト」は、法の支配と適正な手続、国際人権法および国際人権基準に基づく人権保障、ジェンダーに配慮、子どもの最善の利益の確保などを基本的な考えとしています。国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)に沿ったもので、国際協力を強調しています。一方、各国の主権尊重を確認する論旨ともなっています。国際協力のための多国間合意であり、23項目の目的が掲げられています。12月19日、国連総会(193カ国)はモロッコで10日に採択された移民保護の国際協定を支持する決議案を152カ国の賛成で採択しました。米国、ハンガリー、ポーランド、イスラエル、チェコの5カ国が反対。豪州やオーストリア、イタリア、リヒテンシュタイン、シンガポール、スイスなど12カ国が棄権。日本や中国、韓国は賛成しました。協定は「条約ではなく、法的な拘束力もない」(グテーレス事務総長)が、各国の規範となることが期待されています。

一方で、毎年12月18日(国際移民デー)制定のキッカケになり、搾取や差別といった不当な扱いを受けたり、劣悪な待遇の下で働くことを余儀なくされている外国出身の移住労働者の権利の擁立と確保を目的にした国際条約があります。

2018年12月時点における批准国は、フィリピンを始め北アフリカや南米諸国を中心とした54カ国です。アルバニア、トルコ、ボスニア・ヘルツェゴビナを除く欧州評議会加盟国や米国、カナダ、そしてオーストラリアや日本も含めたすべての先進国は、移住労働者の増加による国内の失業や治安の悪化などを懸念して2017年4月現在も署名も批准も行っていません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です