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現代社会の分断を告発するファンタジー映画「The Shape of Water」

大アマゾンの半魚人

大アマゾンの半魚人(Creature from the Black Lagoon)は、1954年に製作された米国のSFホラー映画です。

登場するモンスターのギルマン(エラのある人間)は、怪物映画の老舗であるユニバーサル映画がドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの怪物に続くオリジナル・モンスターとして考案したものです。

第90回アカデミー賞最多13部門ノミネートを果した映画「シェイプ・オブ・ウォーター」は、ギレルモ・デル・トロ監督が幼少期に観た「大アマゾンの半魚人」の「ギルマンとジュリー・アダムスが結ばれていたら」という考えが基になっているそうです。

デル・トロ監督はメキシコ出身で10年以上特殊メイクに関わり、日本のマンガや特撮映画、ロボットアニメに影響を受けており、中でも円谷英二特撮監督を尊敬しているそうです。2006年に監督・脚本の映画「パンズ・ラビリンス」は、世界的に高い評価を得てファンタジー映画のヒットメイカーとして広く認知されました。

「シェイプ・オブ・ウォーター」は、ヴェネツィア映画祭で批評家の多くから「パンズ・ラビリンス」以来のデル・トロの最高傑作と評され、特にサリー・ホーキンス(イザイラ)の演技が賞賛されています。1962年の冷戦下、米国政府の極秘研究所で清掃員として働く、口の利けない女性「イライザ」と不思議な水中生物の愛を描くファンタジーロマンスです。デル・トロ監督自身は「大人のおとぎ話」と述べています。

The Shape of Water / IMDb

主人公のイライザが「彼を助けなければ、私たちも人間じゃないわ」と手話で叫びます。民族や人種、宗教や思想、そして外見が違う、醜い、言葉が通じない、何らかの障害があるなどなど、映画は「魚人」を通して国家や現代社会で進む分断と不寛容な時代を告発しています。「心が通じる」とは何か? 完全な人間なんているのか? イライザさんの「心の美しさ」を描き、観てみたいファンタジー映画になっているようです。

デル・トロ監督は「昔から変わった子供でした。メキシコ人にしては静かですし色が白い(笑)。スポーツもやらないで本を読んだり、映画を観たり、絵を描いたり。怪獣を愛してきたのは、彼らには欠点が多いから。怪獣は不完全な人々にとっての守護聖人なんです」と語っています。下記の来日トークイベント記事をご覧ください、