大エジプト博物館(GEM)は、2018年末に博物館の約3分の1のスペースに少年王ツタンカーメンの所有物を展示して「ソフトオープン」させる予定でしたが、プロジェクトの進捗状況から 2019年の仮オープン(ソフトオープン)も中止して、2020年10月の完成オープンを目指しています。(AP/YouTube参照) <4/4, 2020年 カイロ共同>新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2021年に延期すると発表。
<12/2023 追記:GrandEgyptianMuseum.orgによれば、2024年の中頃を一般公開日の目標としています。>
- After delays, new mega-museum set to open in 2020(2018/12/29 AP / YouTube)
この大エジプト博物館は 2002年には建設を表明していますが、2011年エジプト革命(アラブの春)の混乱もあって不安定な状況となり、GEM建設プロジェクトも大幅に遅れてしまいました。一方でGEM建設資金は。当初の6億5,000万ドル(約720億円)から10億ドル(約1,100億円)を超える水準に膨れ上がりました。日本は、GEM建設に対して円借款二期合計で約843億円を供与しています。
- エジプトに対する円借款の供与(限度額:348億3,800万円)(2006年5月 外務省)
- 大エジプト博物館建設計画(第二期)(限度額:494億900万円)(2016年10月 外務省)
また、2008年6月から大エジプト博物館保存修復センター(GEMCC)プロジェクトとして、GEM開館までに10万点の文化財を展示できるようにするため、収蔵品のデータベース整備から移送、保存修復までの連続した作業を支援。そして保存修復センターの保存修復技術者を対象に、紙や染織品など材質別に修復技術の理論と実践についてのワークショップを実施しています。(euronews/Youtube参照)
アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領は、経済成長が治安改善のカギとなることから経済の浮揚を最優先課題に据えています。GEM館長のタウフィック氏によると、新博物館がオープンして見込まれる来館者数は年間約800万人だと言います。エジプト全体の2018年観光客数の見通しは800万人。前年よりは増加したものの 2011年動乱前のピークだった1,470万人には遠く及びません。
かつて国内総生産(GDP)の11%以上を占めていた観光産業の復活が「エジプト経済の浮揚」に欠かせません。近隣の三大ピラミッドと、この大エジプト博物館を中心としてカンファレンスセンターや店舗、レストラン、ホテルなどが完成、そして周辺地域の環境整備が進むことを期待しています。