救急車の椅子に座り、血まみれの顔でぼうぜんと前を見つめるシリアの5歳の男児映像が、世界に衝撃を与えています。
爆撃で全身が灰色に覆われ、頭部が血だらけのオムラン・ダクニシュ(5歳)くんです。
見分けがつかなくなったアニメキャラクターのTシャツを着て、遠くの一点をただ見つめ、ショックで泣きもしません。自分の額を触って、付いていた血を座面になすり付け、戸惑いを見せています。
シリアのバシャル・アサド政権に抵抗するメディア団体アレッポ・メディアセンター(AMC)が17日、インターネット上に映像を公開しました。政府軍によるとみられる空爆を受けたとき、オムランくんは両親と兄弟を含む家族6人でシリア北部アレッポの自宅にいました。オムランくんは瓦礫のなかから約5時間後に救出され、救急車に乗せられました。
シリアで内戦が勃発して6年。反政府勢力の拠点だったアレッポは、アサドのシリア軍とロシア軍の巻き返しで激戦地と化しています。市民はアサド政権軍に包囲されて逃げることもできず、巻き添えで多数の死傷者が出ています。
救出したのは、非武装中立の一般市民によるボランティア組織「ホワイト・ヘルメッツ」です。オムランくんはその後病院へ運ばれて治療を受け、2時間後に親戚の家へ引き取られました、両親も負傷し別の施設に運ばれましたが、命は助かったということです。
シリアの内戦ではこれまでに30万人以上が命を落とし、戦火を逃れた何百万人が国内や周辺諸国で難民となっています。
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