1947年初版ヴィクトール・フランクル著「夜と霧」(原題の直訳は”ある心理学者の強制収容所体験”)、そして、1956年公開のドキュメンタリー短編映画「夜と霧」(仏: Nuit et brouillard)、この夜と霧(独: Nacht und Nebel, NN)、というフレーズは、1941年12月7日、アドルフ・ヒトラーにより発せられた命令(政治犯の容疑者を家族ぐるみ一夜にして消すという秘密指令)に由来します。アラン・レネ監督の短編映画「夜と霧」と、アウシュヴィッツでの大量殺人に至るプロセスを示した現存する唯一の証拠写真「アウシュヴィッツ・アルバム」は必見です。
1956年公開の短編映画「夜と霧」は、ナチスによるアウシュヴィッツ強制収容所を扱った最初の映画の一つです。撮影した当時のカラーフィルムと、戦時中のモノクロのニュースフィルム・写真が交互に往還するコラージュの手法でナチズムを告発した斬新な表現と内容は、当時、世界に衝撃を与え論争が巻き起こっています。アラン・レネ監督は1956年ジャン・ヴィゴ賞を受賞しています。
日本の初公開時には、残虐シーンが過激であるとされて数分のカットをほどこして上映されました。アラン・レネ監督は本作で世界的に注目を浴びます。音楽を担当したハンス・アイスラー氏はナチに抵抗した作曲家で、敢えて流麗なサウンドをつけています。
- 夜と霧(Original: Nuit et brouillard)(IMDb) Ratings: 8.6
The history of Nazi Germany’s death camps of the Final Solution and the hellish world of dehumanization and death contained inside.
<閲覧注意> 残虐場面/遺体の映像・写真
- Fred Vogels(Website) オランダ語
- Night and Fog – Alain Resnais (1955) | Fred Vogels (2023)(Fred Vogels)
ここで全編動画?が観られます。
アウシュヴィッツ・アルバム(The Auschwitz Album)は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所での大量殺人に至る過程を示した現存する唯一の証拠写真です。満員の貨物列車の悲惨な旅の後に恐怖を抱えて降り立つ男性、女性、子供たちの姿が写っています。彼らは、自分たちが死の工場に送り込まれたばかりで、生き残れる人はほとんどいないということをまったく知りません。ガス室に入る前の最後の瞬間(多くは女性と子ども、老人)があります。
- ヤド・ヴァシェム/ホロコースト記念館(Wikipedia)
- The Auschwitz Album(yadvashem.org) アルバム(193枚の写真)
アルバム内の写真には、殺害そのものを除くプロセス全体が示されています。1944年の初夏、ハンガリー系ユダヤ人の国外追放が最高潮に達した時期に撮影されたものです。「選別」では奴隷労働に適しているとみなされた者は収容所に送られ、消毒されて兵舎に配給されます。残りはガス室に送られました。彼らは無害なシャワーを装ってガス処刑され、遺体は火葬され灰は近くの沼地に撒かれました。死者の口から金の詰め物さえも抜き取り、ユダヤ人たちの持ち物はすべて没収され、「Kanada」と呼ばれる区画に保管、仕分けされます。