北欧のフィンランドとスウェーデンが、北大西洋条約機構(NATO)への加盟に近く踏み切る可能性が出て来たそうです。NATO当局者は両国の加盟に関する議論は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、極めて重大な意味合いを帯びるようになったとしています。米国務省の高官は、この問題は先週開かれたNATO外相会議(4月6-7日)でも取り上げられ、フィンランドとスウェーデンの両国外相もこの会議に加わっていたということです。
- North Atlantic Treaty Organization:NATO(Website)
- フィンランドとスウェーデン、NATOに近く加盟か(4/10 CNN)
ブリュッセルで開催されたNATO外相会議は、ロシアのプーチン大統領のウクライナに対する挑発的な戦争の世界的な影響を考慮して、ウクライナへの支援をさらに強化し、パートナーとの協力を強化することに合意しました。
また、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、スウェーデンとフィンランドが決断したのなら加盟は容易だろうとの見解を表明。両国は長年、NATOと共に働いてきており、軍の相互運用や軍に対する民主的な統制などの問題でNATOの基準に合致していると述べています。
今回のNATO外相会合への出席は、NATOからの招待を受けたものであり、日本の外務大臣による初めての出席です。林外務大臣が出席したNATOパートナーセッションには、NATO加盟国30か国及び招待を受けたパートナー(日本、豪州、フィンランド、ジョージア、韓国、ニュージーランド、スウェーデン、ウクライナ及びEU)の外相等が出席し、ウクライナ情勢や国際的な安全保障情勢等について議論が行われています。
- 林外務大臣のNATO外相会合出席(結果)(4/7 外務省)
<林芳正外務大臣の発言概要の一部抜粋>
・ロシアによる侵略は、国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態。断じて許されるものではなく、日本はこれまでにない強力な制裁措置を機動的に講じてきている。先月、ロシアは、日本の対応を非難し、長年取り組んできた平和条約交渉の中断を宣言したが、日本がこれにひるむことはない。
・力による一方的な現状変更は、どの地域においても許されるものではない。今回の侵略を直接・間接的に支持している国がいることは憂慮されるべき事態である。また、中国は、ウクライナ侵略について今なおロシアを非難していない。さらに、北朝鮮はロシアによるウクライナ侵略の間隙を利用してICBM級の弾道ミサイル発射を繰り返している。
・NATOのアジア太平洋のパートナーとの関係強化に関するストルテンベルグ事務総長とNATOの取組を歓迎。NATOのインド太平洋への更なる関与に向けた具体的協力を進めるとともに、法の支配に基づく国際秩序を確立するため、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、連携を強化していきたい。