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The 34th First Annual Ig Nobel

哺乳類が肛門を通じて腸で呼吸できることを発見(2024年イグノーベル賞)

人々を笑わせ、考えさせてくれる研究に贈られるイグノーベル賞(Ig Nobel Prize)が発表され、日本人研究者が18年連続で受賞しました。イグノーベル賞生理学賞を受賞したのは、東京医科歯科大学・大阪大学の武部貴則教授、開業医・岡部亮医師ら11人のグループです。武部貴則教授は「日本には尻から酸素を吸い上げる能力を持つドジョウという面白い生き物がいる。なぜ私たちには同じことができないのか? それが最初の問いかけだった」と語ります。

The 34th First Annual Ig Nobel
The 34th First Annual Ig Nobel Ceremony (2024) FULL SHOW / YouTube

ドジョウが、時々水表面に浮かび出て水面上の空気をのみ込み、肛門より気泡を放出する特殊な習性をもっていることは、古くから知られています。のみ込んだ空気が腸管を通って肛門より排出されることが証明され、腸管表面の粘膜に毛細血管が密に分布すること、排出されるガスを分析した結果、酸素が減少し炭酸ガスが増加していることなどが報告されています。(下記リンク)

このドジョウの腸呼吸に着目した研究から、哺乳類も直腸から酸素を取り入れることができる可能性が示唆されています。東京医科歯科大学と大阪大学の武部貴則教授らによる研究グループは、肺機能が低下した人間にもこの「腸呼吸」を応用できないかと考え、マウスやブタで肛門から酸素ガスや酸素を豊富に溶かした液体を供給する実験を行い、血中の酸素量が増加し、生存率が改善することを確認しています。

Mammalian enteral ventilation
Mammalian enteral ventilation ameliorates respiratory failure / YouTube

呼吸不全の患者には従来、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)が使用されますが、身体的負担が大きく、扱いも難しいものです。武部教授は時事通信の取材に、腸換気法は超未熟児にも活用できると指摘します。今回の受賞を通じて「まだ広く受け入れられていない技術だが、楽しみながら知ってもらえればありがたい」と話しています。

授賞式では共同受賞者の岡部亮医師(45)、名古屋大の芳川豊史教授(52)らとドジョウの帽子をかぶって研究を再現。酸素に見立てた風船をお尻にあてがって説明すると、会場は笑いと拍手に包まれていました。

The 2024 Ig Nobel Prizes will be awarded at the 34th First Annual Ig Nobel Prize ceremony, on Thursday evening, September 12, 2024, at MIT (The Massachusetts Institute of Technology) in Cambridge, Massachusetts, beginning at 6 pm US eastern time. After four pandemic-years in which the ceremony happened only online, this will resume the tradition of doing it with everyone together in a big room with an audience. The ceremony will, as per tradition, also be webcast. We are producing the ceremony in collaboration with the MIT Press.

人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究(TEDMED: Marc Abraham)


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