12月23日、香港大学は1989年6月4日に起きた中国の天安門事件の犠牲者を追悼する記念像「国恥の柱(Pillar of Shame)」を構内から撤去したと発表しました。また、24日には香港中文大学が「民主の女神像」を、嶺南大学は天安門事件を記念するレリーフを撤去したと発表しています。
- 香港大、天安門事件の追悼像を撤去 「墓石の破壊」と制作者は批判(12/23 BBC News Japan)
- 天安門事件の記念像、さらに2大学が撤去 香港(12/24 ロイター)
「国恥の柱」は高さ8mの銅製で、デンマーク人彫刻家イェンス・ガルシュット(Jens Galschiøt)氏が製作しました。1989年に中国当局に殺害された民主派活動家の、苦悶(くもん)の表情を浮かべた遺体を積み重ねたデザインになっています。ガルシュット氏は当局を訴え、補償を求めることも検討するとしました。
天安門広場に建てた「民主女神」を模した高さ6.4mの「民主の女神」像(Goddess of Democracy (Hong Kong))と、「記念レリーフ」を制作したアーティストの陳維明(Chen Weiming)氏は、ロイターに対し作品に傷が付けば大学を訴えるとした上で「残忍な弾圧の歴史を葬り去りたいのだろう。香港に今後もさまざまな見方が存在することを認めないのだろう」と語っています。
- Goddess of Democracy / 民主女神(Wikipedia) 高さ10mの発泡スチロール製
事件当時、天安門広場にわずか5日間立っていました。
中国本土においては、天安門事件に関する情報、話題は厳しく検閲されています。香港では2020年に当局が新型コロナウイルス対策を理由に禁止するまで、追悼集会が毎年開かれていました。今年10月には、2020年に禁止されていた追悼集会に参加したとして、香港の民主派活動家9人に禁錮6カ月~10カ月の有罪判決が言い渡されています。