奄美大島の海底には、直径2mほどの幾何学的な円形模様(ミステリーサークル)が存在することは1995年頃から知られていました。ただ、誰が何のために作っているのかは長らく謎のままでした。そして、2011年になって砂のミステリーサークルが、新種(アマミホシゾラフグと命名)で小さなフグのオスが作った、メスをおびき寄せるための産卵床であったことが判明しました。
東京大学生産技術研究所木下健教授の実験によると、中央部分にメスが産卵しますが、サークルがあることで卵は流れないことが分かったそうです。溝を上手に作れるフグほどメスが来るため、複雑な形のミステリーサークルを作れるフグがモテるのではないかと推察されています(^^)
白い水玉模様が特徴で体長約10cmの小さなフグが、どうやってこんなに巨大で、しかも正確な形状の構造物を作ることができるでしょう。動画を見た世界中の建築家やデザイナーの人たちも、アステカのデザインに似た素晴らしいアートを描く「小さなフグ君」に驚き、美しい幾何学的なミステリー・サークルを称賛しています。
8月30日には、大阪大学ヒューマンウェアイノベーション博士課程と千葉県立中央博物館の共同研究グループが、アマミホシゾラフグが幾何学模様を形作る原理の一端を、行動解析を基に計算機シミュレーションにて解明して発表しました。この研究成果は8月17日に英国科学誌「Scientific Reports」(オンライン)にも公開されています(^^)
研究成果では「これほど興味深い現象は、めったになく、しかもそれが、フグの気まぐれに見える行動から、必然的に生まれるなどという「おもろい」発見は、エンタテインメントとして十分に成立している」としています(笑)
- アマミホシゾラフグが幾何学模様(ミステリーサークル)を作る原理の一端を解明(8/30, 2018 大阪大学)
- 海底のミステリーサークル(生命機能研究科・近藤教授) 詳しい構造解析が面白い
- Pufferfish mating ritual(en:Wikipedia)
- ダーウィンが来た!生きもの新伝説「世紀の発見!海底のミステリーサークル」(2012/9/9放送 NHK)