4月14日、米ハーバード大学のアラン・ガーバー(Alan Garber)学長は公開書簡で、「私立の大学が何を教えるか、誰に教えるか、誰を雇用するか、どの分野の学問と問題を追究できるかについて、いかなる政府も、どの政党が政権を握っているかにかかわらず、指示すべきではない」として、米国教育省からの一連の要求について拒否する姿勢を示しました。これを受けてトランプ政権は複数年の助成金22億ドル(約3,150億円)と、6,000万ドル相当の複数年契約を凍結すると発表しました。
- The Promise of American Higher Education(4/14 Alan M. Garber / Harvard University)ガーバー学長の声明
- Trump Administration Will Freeze $2 Billion After Harvard Refuses Demands(4/14 The New York Times)
- Harvard University(Facebook)

ガーバー学長は、「トランプ政権に全般的に反対している左派的思想の持ち主を探し出すため学生、学部、スタッフの見解を”審査”すべきとする連邦政府の要求は、憲法で保障された言論の自由の権利を侵害している」と指摘します。さらに「当大学は独立性や憲法で保障された権利を放棄しない」と付け加えています。
- The Promise of American Higher Education(Harvard University)
何が危険にさらされているのか/数字で見る/反ユダヤ主義と研究資金/最新の動向
ホワイトハウスは声明で、トランプ大統領は「反ユダヤ主義が野放しにされる状態を終わらせるとともに、危険な人種差別主義や人種問題に動機付けられた暴力へのハーバード大の支持のために連邦政府の資金が提供されないようにすることで『高等教育を再び偉大にする』ことに取り組んでいる」と説明しました。
反ユダヤ主義との闘いに関する米国教育省のタスクフォースは、ハーバード大が「連邦政府からの資金提供は公民権法を守る責任を伴わないという深刻な特権意識」を持っており、こうした意識は国内の最も権威ある大学に広く根付いていると主張しています。
- Read the Trump Administration’s Letter to Harvard(4/14 The New York Times)米国教育省など政権からの手紙
- Read Harvard’s Response to the Trump Administration(4/14 The New York Times)ハーバード大学から政権への返答

トランプ政権はハーバード大に対し、多様性・公平性・包摂性(DEI)の取り組み廃止、学内の抗議運動でのマスク着用禁止、能力に基づく採用、入試改革、「学問よりも運動に力を入れる」教職員の権限縮小などを要求していました。
ハーバード大学はトランプ政権の要求を拒否した最初の大学となり、連邦政府と全米で最も裕福な大学との対決の様相を呈しています。トランプ政権がハーバード大に対する約90億ドルの補助金や契約を見直す方針を表明したことを受け、ハーバード大の教授グループは先週、見直しの差し止めを求めて提訴しています。
