米国防総省は、弾道ミサイルを地上配備型の迎撃ミサイルで撃ち落とす実験を6月22日に行ない、初めて成功したと発表しています。
米航空宇宙機器大手、ボーイング(Boeing)の地上配備型迎撃ミサイル(Ground-based Midcourse Defense、GMD)システムは、北朝鮮やイランなどの長距離弾道ミサイルに対応するため、400億ドル(約4兆円)をかけて開発しました。
ジョージ・ブッシュ前大統領の下で2004年にプロジェクトが開始されましたが、発射実験ではこれまで8回中5回失敗していました。
実験では、マーシャル諸島・クエゼリン環礁(Kwajalein Atoll)にある米陸軍のミサイル防衛実験施設から発射した中距離弾道ミサイルの模擬弾を、米カリフォルニア(California)州にあるバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)から発射したミサイルで迎撃し、太平洋上で撃ち落とすことに成功しています。
迎撃体は炸薬を積まない運動エネルギー兵器であり、秒速7km以上の高速で衝突する際に生じる衝撃と熱で大量破壊兵器と目されるICBMの弾頭を無力化します。
アラスカのフォートグリーリー基地に26機、バンデンバーグ基地に4機、計30機のGBIを保有しています。
AP通信は、今回の実験成功で2017年までに14機の追加配備計画に青信号が点ったと伝えています。
- Target Missile Intercepted Over the Pacific Ocean During Missile Defense Exercise(News Release / mda.mil)
ミサイル防衛(Missile Defense、略称MD)とは、主に弾道ミサイルからある特定の区域を防衛することです。日本については「日本におけるミサイル防衛」をご覧下さい(Wikipedia)
- The Missile Defense Agency(Website)
- 米軍がミサイル迎撃実験に成功、北朝鮮の脅威で追加配備計画(Newsweek)