9月12日、英国のデーヴィッド・キャメロン(David Cameron)前首相は、議員の座を直ちに退く意向を表明しました。同氏は今年6月に実施された英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票のあと、首相を辞任していました。
キャメロン氏は、「首相を辞任した状況と政治の現実とを考えると、一般議員の座にとどまるのは難しい。後任の首相や政府が重要な決断を下す際、自分の存在が妨げとなるリスクが避けられないからだ。」と述べています(YouTubeを参照)
議員の辞職については、公式発表に先駆けて後任のメイ首相に決断を伝えていたということです。
将来は「何らかの公的な職務で英国に貢献していきたい」としています。
現在49歳のキャメロン氏は、2001年の総選挙で初当選。2005年に保守党党首となると、2010年の総選挙で労働党から政権を奪還して首相に就任しました。
首相就任時の年齢は43歳7ヶ月、1812年以降で最も若い首相でした。
キャメロン氏の「議員辞職」の決断は、英国の民主主義が前進するために必要との判断です。政治家として最後の政治責任を果たし、英国を前進に導き自国を愛する引退表明のように思います。「引き際」に清々しさを感じます。
省みて、引き際の悪さ、世代交代やイノベーションが進まない日本では、自国を前進に導くために政界引退を考える、真に「愛国心」をもった政治家はどのくらいるのでしょうか?
民間企業では、不正発覚の東芝が、ようやく「相談役」制度を廃止しました。経済産業省が、弊害の多い日本企業に特有な制度である「顧問」や「相談役」について実態調査を行うことになりました。透明性の高い企業統治に向けた具体策を検討するということですが、前近代的な慣行を温存しようとする「協調組合主義」の蔓延は根深いように思います。
- 英国のキャメロン前首相が議員辞職、EU離脱受け(CNN)
- 経産省が調査!会社の「顧問」「相談役」何してるの?(9/1 R25)