あなたは宇宙貨物輸送機の機長で、宇宙基地に向かう途中で遭難信号を受信しました。1機目は中年労働者を乗せていて、爆発により酸素が欠乏しはじめています。もう1機は休暇を楽しむ大学生を乗せ、制御ロケットが外れて衝突の危険が迫っています。1機しか救う時間がありません。どちらを選ぶべきでしょうか。ダグ・マッケイ(Doug MacKay)氏が、この典型的な倫理のジレンマを探求します。
救出に向かうため、テリック12号の乗客リストを見ます。中年労働者の乗客を30名乗せています。地球の貧しい地域から労働センターに行くようです。テリック12号に近づきはじめると、また遭難信号が入りました。豪華客船パレトの制御ロケットが外れて、このままでは小惑星帯に突っ込みます。助けが来なければ休暇を楽しむ大学生20名が全員死んでしまうでしょう。
1機しか救う時間がありません。どちらを選ぶべきでしょうか? 人命を救う「臓器移植」や「ワクチンが足りない」とき、誰を優先するのか。このような問題にどう取り組むべきか、色々な説があります。
最も優勢な考え方は「功利主義」です。はじめて体系的に確立した倫理的考え方で、提唱者は、ジェレミ・ベンサムとジョン・スチュアート・ ミルです。彼らは最大幸福をもたらすほうを選択すべきだと説いています。
他の考え方もあります。哲学者デレク・パーフィットは、貧しい者を優先すべきだと説いています。
それとも、これらの変数はどれも決定に影響すべきではないかもしれません。哲学者ジョン・タウレク(John Taurek)の 主張は有名です。数は関係ないと言うのです。こういう場合、一人一人が平等に考慮され、尊重されるべきだと。ですから、どの乗客を救うべきかは硬貨をはじいて決めるのが最良です。
しかし、結果を見て乗客やあなたがどう感じるかが新たな難題です。
- 1人しか救えませんーどちらを選びますか?―ダグ・マッケイ(TED)
- Japanese translation by Eiko Sato. Reviewed by Naoko Fujii.(日本語字幕を読む)
- John Taurek, “Should the Numbers Count?”: Less Is Equal To More – Moral and Ethical Philosophy …(United 4 Social Change / YouTube)