8月9日、世界各国の科学者でつくる国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化に関する報告書を8年ぶりに公表しました。温暖化が進めば熱波や豪雨といった「極端現象」の頻度や強さが増すとして、温室効果ガスの排出を削減するよう警鐘を鳴らしています。8年前の第5次評価報告書(2014年)では「温暖化の主な要因は、人間の影響の可能性が極めて高い」としていましたが、IPCCとして初めて「地球温暖化の原因が人間の活動によるもの」と断定しました。
- AR6 Climate Change 2021: The Physical Science Basis(IPCC)
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について(8/9 環境省)
The Working Group I contribution was approved at the 54th Session of the IPCC which took place virtually from 26 July to 6 August 2021.
気候の現状について、「地球温暖化の原因は人間の活動」と断定しています。
1)人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている。
2)気候システム全般にわたる最近の変化の規模と、気候システムの側面の現在の状態は、何世紀も何千年もの間、前例のなかったものである。
3)人為起源の気候変動は、世界中の全ての地域で、多くの気象及び気候の極端現象に既に影響を及ぼしている。熱波、大雨、干ばつ、熱帯低気圧のような極端現象について観測された変化に関する証拠、及び、特にそれら変化を人間の影響によるとする原因特定に関する証拠は、AR5以降、さらに強化されている。
IPCCの報告書の公表にあわせて、世界各国の首脳が声明・談話を発表しています。小泉環境大臣が談話「大胆な政策強化に全力」、英ジョンソン首相「世界が今行動を」、米ブリンケン国務長官「気候変動 すでに危機的」、仏マクロン大統領「報告書に議論の余地ない」、国連 グテーレス事務総長「報告書は人類に対する警鐘」、環境活動家のグレタさんは「決断するのは私たちだ」としています。
地球温暖化が進むほど、世界各地で熱波や豪雨といった「極端現象」の頻度や強さが増します。IPCCの報告書は、国際的な温暖化対策に大きな影響力があり、ことし11月にイギリスで開かれる予定の国連の会議「COP26」の議論への影響が注目されます。
- COP26議長「次の10年、決定的に重要」 危機感強める(8/9 ロイター/日本経済新聞)
- 地球温暖化の原因は人間の活動と初めて断定 国連IPCCが報告書(8/10 NHK News)
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