ハーバード大学SEASが資金援助したスタートアップ企業「Metalenz」は、顔認証システムに使う機械学習アルゴリズムを改善するために、いま大量のデータを収集している最中です。Metalenzの「Polar ID」は、顔(皮膚)の偏光(Polarization)シグネチャを読み取ることで、安全な顔認証システムを実現する技術です。Appleの「Face ID」よりも安価に Androidスマートフォンに搭載できる可能性があります。また、自動運転車や衛星、内視鏡、AR/VRなどのイメージングとセンシング分野に革命を起こす可能性があります。
- Capasso Group(capasso.seas.harvard.edu)
- Android向け顔認証システム「Polar ID」は、アップルのFace IDを凌ぐかもしれない(3/12 Wired.jp)
「Polar ID」は、極薄フラットなレンズ技術で省スペースとなり、光の偏光を感知できる世界で唯一の消費者向けイメージング・システムは、次世代の安全な生体認証セキュリティを可能にします。メタオプティック機能の画期的な進歩を応用して、人間の顔のユニークな「偏光シグネチャ」を正確にキャプチャします。最も洗練された不正アクセスの「3Dマスク」や「なりすまし器具」であっても、人間ではないものとして即座に検出できます。
「偏光の特徴」を顔認証と結びつけることで、ユーザーがマスクやサングラスを着用していても、あるいは別人が「写真」や「3Dマスク」で顔を偽装しようとしても、個人を正しく識別し認証できるようになります。個々人の皮膚の「偏光の特徴」と照合することでこれを実現します。
共同創業者兼CEOのロバート・デヴリン(Rob Devlin)氏は、スマートフォンに「Polar ID」のイメージング・システムが搭載されることで、広大なデータセットを利用できるようになり、偏光技術をほかの分野でも応用するための強固な足がかりをつくれると言います。そして理論的には、スマートフォンのカメラを使用して「皮膚がん」ができていないかをチェックしたり、周囲の空気の微粒子から空気の質を測定したりできるようになるそうです。「ブドウ糖でさえ偏光の固有の特徴があります」と言います。また、ほかにも多くの活用法が考えられます。これが顔認証に最初に取り組むことの利点ですと述べています。
Androidスマートフォンに「Polar ID」技術が採用されれば、顔認証に比べると安全とは言えない指紋認証の時代は終わりを迎えるとデヴリン氏は考えているそうです。
Metalenzの中核技術(メタサーフェス)は、この10年でつくられたものです。共同創業者兼CEOのロバート・デヴリンが、同じく共同創業者で著名な物理学者のフェデリコ・カパッソ(Federico Capasso)とともに、ハーバード大学で博士号の取得に向けた研究のなかで開発されました。この研究グループ(Capasso Group)から派生して誕生したのが Metalenzです。