誰でも頭に血が上ることはありますが、その相手が自分の子である場合、かなりの危険を冒していることになります。そんなときに頼りになるのが精神科医であり、著名な子育てアドバイザーであるベッキー・ケネディ(Becky Kennedy)氏です。親たちの決して素晴らしいとは言えない場面における、罪悪感や恥ずかしさにどう対処すべきかの実用的なアドバイスに加え、良き親になるための会話例まで伝授してくれます。しかも、これは他の人間関係にも応用できます。結論は…「やり直すのに遅すぎることはありません」です。
- TED Speaker/TED Attendee: Becky Kennedy(Parenting whisperer)
日曜の夜の台所、ちょうど夕飯を作り終えた私はピリピリムード。原因は疲労と睡眠不足、週明けの仕事の心配、やることが多すぎてどうにかなりそう。そこにやってきた息子がテーブルを見てひと言「またチキン?」(笑) 「サイアク」(笑)
私はキレて怒鳴りつける「何様のつもり?」「感謝ってものを知らないわけ?」。事態はさらに悪化「ママなんて大嫌い!」、寝室に逃げ込みドアを乱暴に閉める息子。そして、私の反省会が始まる。自分に問いかけるの「一体どうしちゃったの?」「子供を傷つけてしまった」って・・。親ならきっと胸を痛めたことがあるはず、私の場合さらに 恥ずかしさが加わります。私は臨床心理学者で、良い親になる手助けをするプロですから・・(笑)
つい怒鳴るのはみな同じ。その後、何をすべきかわからないのです。その悩みを解決したい。結局のところ、人間関係において、最も大きな影響力を持つのが「修復」です。「子育てに重要なコツは?」と親に聞かれるたび、同じことを答えます。「修復上手」になりましょうと。
親子関係の「修復」、正解はないけど3つの要素がある。出来事を特定する。責任をとる。次は何を変えるか伝える。 例えばこう、「ねえ」「この間の台所でのことだけど」「怒鳴ってごめんね」「怖かったわよね」「あなたは悪くない」「イライラしないように、ママも頑張るわ」。たった15秒の会話で子供の人生が変わります。子供の中にある「自己非難の物語」を、「自信と安心感」と「絆の物語」に変えたのです。大違いですよね。
「修復」をより明確に理解するために「修復ではないもの」の例を示します。多くの人がやりがちなこと、もちろん私も。「台所で怒鳴ってごめんね」「でもあなたが文句を 言わなければよかったのよ」 (笑)
疑問もありますよね。たとえば「うちの子はもっと大きい」とか(笑) 「もう遅いでしょ」とか。「台所の例よりよっぽどひどいことしてる」とか(笑) 「手遅れだ」とか。いいですか、これだけは覚えて帰ってください。手遅れじゃない、遅すぎることなんてないんです。どうしてかって? 例えば、この後すぐに親から電話がかかってきて・・ もし亡くなっていたら、手紙を見つけたと想像して・・・・
子供の歴史は短いし、大人よりも修正しやすい。だから、もしこの話で心が動いたなら、実際の「修復」が子供に与える影響を想像してください。ほらね、遅すぎることなんてないんです。 ありがとうございました(拍手と歓声)
- 子育てで一番大事なたったひとつのこと | ベッキー・ケネディ(TED)
- Sakura Hamamoto, Translator Yoshiaki Yamagami, Reviewer(日本語字幕を読む)
著書「Good Inside」は、世界35か国に翻訳!され、米ニューヨーク・タイムズのベストセラー第1位となっています。子育てプラットフォーム「Good Inside」を立ち上げ、書籍、ポッドキャスト、ワークショップなど多方面で活動しています。
- drbeckyatgoodinsid(Instagram)
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