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極渦:ポーラー・ボルテックス (Polar vortex)の変化

米国中西部が大寒波に見舞われ、多くの市町村が機能停止状態に陥っています。シカゴでは南極よりも低いマイナス30度を記録したほか、ノースダコタ州でもマイナス37度を記録しています。急激な気温低下の原因は、極渦(きょくうず、Polar vortex)と呼ばれる北極や南極の上空にできる「寒気の渦」が南下したことです。米国各地の気温は例年を大きく下回っています。この大寒波の影響はマサチューセッツ、ニューヨーク、ペンシルバニアなど北東部州にも広がって、関連した死者は12人(1/31 ロイター)に上っています。

A Closer Look at the Polar Vortex’s Dangerously Cold Winds / The New York Times

極渦は本来、成層圏近くの高い高度で循環しており、人間の活動には影響を及ぼしません。しかし、近年はジェット気流が極渦に干渉を起こし、その渦を分裂させています。いま起こっているのは、分裂して南下した極渦が米大陸の大半をすっぽり覆う現象です。

1月29日、トランプ大統領は大寒波襲来のニュースを受けて「地球温暖化は一体どこへ行ったんだ? 頼むから返ってきてくれ」などとツイッターで述べましたが、とんでもなく無知な発言です。

この大寒波は、地球温暖化と気候変動により極渦が米国の上空まで南下してきた結果です。北極での温暖化は中緯度エリアよりも速く進んでいます。極渦の長期的な変化に関してはまだ研究が進められている途中ですが、今回のような寒波の発生は、将来的に増えていくことが予想されています。

2018年3月に Nature Communications誌に発表された研究(Jennifer Francis)では、特に北東部で暖かい北極圏の空気と、米国の寒い冬との関連性が指摘されています。極渦がどのようにして米国中西部に大寒波をもたらしているのか、ナショナル・ジオグラフィックが説明しています。

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