オーストラリアに広く分布するオウムの一種、キバタン (Sulphur-crested cockatoo)が、公共の飲用噴水の出し方を突き止めて、器用に水を飲んでいます。さらには、蓋付きのゴミ箱を開けて食べ物を漁ることも覚えました。キバタンは生まれつき好奇心旺盛で、非常に高い知能を持っています。研究論文(Biology Letters)では、複雑な操作を習得した数羽から地域の仲間へ拡がり、知識共有も明らかになっています。
- Crafty cockatoos learn to use public drinking fountains(6/4 New Scientist)
- Emergence of a novel drinking innovation in an urban population of sulphur-crested cockatoos, Cacatua galerita(6/4 Biology Letters)

白い体に黄色いとさかが特徴的なキバタンは、甲高い金切り声で鳴くことで知られています。好奇心が旺盛で知能が高く、器用な足先を駆使して、都市環境で生き延びるための新たなスキルを身に着けているようです。
シドニー西部で2018年に飲用噴水から水を飲む妙技を初めて確認した後、研究者らは24羽にタグを付け、飲用噴水の近くにカメラを設置して様子を観察しました。2019年秋に2カ月間記録したところ、タグを付けたキバタンの大半が飲用噴水から水を飲もうと試みました。取っ手をひねることで水が出る飲用噴水は人間には簡単ですが、動物が理解するには複雑な仕組みです。

取っ手をひねる方法は様々で、両足で取っ手に乗るキバタンもいれば、片足を取っ手、もう片方の足をゴム製の飲み口に乗せて下に体重をかけ、頭を前へ倒して水を飲むキバタンもいたそうです。失敗することもありますが、ほとんどの場合はうまく水が飲めていたそうです。
周辺の飲用噴水10カ所中、キバタンが来たと思われる「噛(か)み痕」の付いた噴水は5カ所だったそうです。観察結果はバイオロジー・レターズ誌に掲載されています。
- 賢さで知られるキバタン、飲用噴水操作して水飲む行動を研究 豪シドニー(6/6 CNN)
シドニーに暮らすキバタンを観察する研究チームは2021年にも、家庭用ゴミ容器の蓋を嘴(くちばし)と足を使って開け、中の食べ物にありつく習性を検証した論文(サイエンス誌)を発表しています。
- Cockatoos are figuring out how to open bins by copying each other(7/22, 2021 New Scientist)
- Innovation and geographic spread of a complex foraging culture in an urban parrot(7/23, 2021 Science)
ドイツのマックス・プランク動物行動研究所のバーバラ・クランプ(Barbara Klump)教授と、ゴミ箱の蓋を持ち上げる様子を撮影した、オーストラリア博物館研究所のリチャード・メジャー(Richard Major)博士らは、ビデオ分析により、こじ開ける、開ける、持つ、歩く、ひっくり返すという5段階の複雑な動作をしていることが明らかになりました。

研究者たちは、ゴミ箱を自力で開ける方法を発見したのはほんの一握りの個体だけだったと考えています。ゴミ箱荒らしの目撃情報を地図上にマッピングしたところ、事象発生の開始地点から地理的に広がるにつれて、知識共有の明確なパターンが見られたそうです。
開けるのは大型のオスで、重い蓋を開けやすかったか、体長の優位性があったとクランプ教授は述べています。開けられないように蓋をロックすると、ゴミ収集車による自動ゴミ捨てが機能しなくなるため、キバタン荒らしを防ぐのは難しいとしています。