11月26日、国際連合環境計画(UNEP)が温室効果ガス削減計画と、現実の温室効果ガス削減度合いにどれくらいの開きがあるかを調べた報告書「Emissions Gap Report 2019」を発表しました。報告書は、パリ協定が努力目標として掲げる1.5度の上昇幅に抑えるためには排出量を年7.6%ずつ減らす必要があると指摘しています。
- Emissions Gap Report 2019(11/26 UN Environment Programme)
- アメリカ合衆国の協定離脱宣言(Wikipedia)
米国の正式なパリ協定離脱は、2020年米国大統領選挙が行われる2020年11月3日翌日の11月4日となります。
人間の活動による温室効果ガスは、この10年平均で年1.5%ずつ増え、2018年の排出量は553億トン(二酸化炭素換算)になり過去最大です。パリ協定で各国が約束している現在の排出量削減目標では、2030年時点の排出量が560億トンになります。そして、このままでは今世紀末に気温が3.4~3.9度も上がってしまい「破壊的な影響」が生じる恐れがあります。パリ協定に基づいて協定に参加する各国の削減目標を達成しても3.2度上昇するということです。
報告書では、20カ国・地域(G20)で世界の全排出量の78%を占めるため、これらの国が率先して社会や経済の在り方を転換し、温室効果ガス排出量削減対策を強化する必要があると指摘しています。
2018年度、日本国内で排出された温室効果ガスは12億4400万トンで、算定を始めてから最も少なくなったと環境省が発表しました。これについて環境省は省エネが進んだほか、再生可能エネルギーの普及や原子力発電所の再稼働で、火力発電の割合が減ったことなどを理由に挙げています。ただ、この削減ペースでは国際公約している「2013年度比26%減」目標の達成は難しいとみられています。
国際的な枠組み「パリ協定」が、来年始まるのを前に、各国の今の目標では温暖化を食い止められないと指摘されていて、日本についても石炭火力発電所の建設中止などを求める声があがっています。
- 温室効果ガス 国内の排出量が過去最少に(11/29 NHK News)
- 温暖化により「破壊的影響」とUNEP警告 日本は温室効果ガス削減続くも目標には不十分(11/29 サイエンスポータル/JST)
- UNEP日本語情報サイト(Website)
- 国連環境計画日本協会(一般社団法人日本UNEP協会)(Website)