1986年(昭和61年)、北海道の屈斜路湖を望む美幌峠で、大正時代から75年ぶりに「チロンヌプカムイ イオマンテ(キタキツネの霊送り)」が行われました。アイヌの人たちもほとんどが知らない幻の祭祀です。祭祀を司るのは、明治44生まれの日川善次郎エカシ(当時75歳)です。祈りの言葉を間違えれば神の怒りをかい、一言一句に魂をこめます。映画は 1986年に撮影したものに2Kレストアを行ない、歌、踊り、言葉を35年後によみがえらせました。4月30日(土)からポレポレ東中野で公開されます。<追記:【急遽前倒し公開】2022年6月3日(金)〜 サツゲキ(狸小路5丁目)>
- 映画「チロンヌプカムイ イオマンテ」(公式サイト)
- 映画「チロンヌプカムイ イオマンテ」(Facebook)
狩猟民であるアイヌの伝統的な考えでは、動物は自らの肉や毛皮をみやげにして人間の国へやってくるのです。アイヌは、キタキツネをわが子のように可愛がって育てると、やがてイオマンテを行ないます。祈りを捧げ、歌や踊りで喜ばせ、みやげを背負わせて神の国へ送り帰します。
北村皆雄監督は、「民俗の記録は古いほど原型が残っている。時間の奥に眠っていたアイヌの世界観を現在に引き出した」と語ります。人気漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者である中川裕(千葉大学名誉教授)が、日川エカシ入魂の祈りを全てアイヌ語で書き起こし、現代日本語訳をつけました。
映画の音楽は、アイヌのユカラ(叙事詩)やウポポ(歌)を取り入れて活動している豊川容子+nin cup(ニンチュプ)が担当。ボーカルの豊川さんが映画の語りをつとめています。神の国と人間の国をつなぐような豊川容子さんの歌声が、心の隅ずみまで響きわたります。YouTube(STV制作)は。アイヌの子守唄を歌う豊川容子さんです。
- nin cup(ニンチュプ)(公式サイト)