10月17日、少数民族クルド人の軍事組織を主力とする連合部隊シリア民主軍(SDF)は、過激派組織イスラム国(IS)が首都と称してきた北部ラッカ(Raqqa)を制圧、解放したと発表しました。
シリア民主軍は、シリア騒乱(内戦)下の2015年10月12日、シリアのクルド人民兵部隊クルド人民防衛隊(Kurdish People’s Protection Units、YPG)を主体として結成しています。
シリア民主軍はシリア政府軍を積極的に攻撃しない上に、米国から優先的に空爆による支援と武器の供給を受けているため、他の反体制派からは反感も持たれています。
SDFは米軍が主導する有志連合の軍事支援を受けて、今年6月からラッカ制圧作戦を本格化させていました。ISは住民を「人間の盾」にして抵抗。在英の反体制派NGO「シリア人権監視団」によると、6月以降、巻き添えで住民1,000以上が死亡しています。また、有志連合による空爆の被害も多いということです。
ラッカは2013年3月、シリアの反体制派が制圧。これをISの前身組織が2014年初頭に制圧し、その後「首都」と称していました。以降、世界からIS信奉者が集まる一大拠点になっていました。
過激派組織イスラム国(IS)は、独自のイスラム教解釈に基づく疑似国家のカリフ(預言者ムハンマドの後継者)制国家の実現を目指しましたが、IS支配地域の大半は制圧され、ISの首都ラッカも陥落して「国家」実現はついえたことになります。
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