世界最高峰のダイヤモンドリーグ(Diamond League)・第8戦のパリ大会が7月7日に行われ、女子走高跳でヤロスラワ・マフチフ(Yaroslava Mahuchikh,ウクライナ)選手が2m10cmの世界新記録を樹立しました。これまでの世界記録は、1987年の世界選手権でステフカ・コスタディノヴァ(Stefka Kostadinova,ブルガリア)選手が跳んだ2m09cmで、実に37年ぶりに1cm塗り替えました。避難生活も経験したマフチフ選手、いつもウクライナの人々を喜ばせたいと思っているそうです。(8/5 パリ五輪金メダル追記)
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- Yaroslava Mahuchikh(Instagram)
ヤロスラワ・マフチフ(22歳)は2023年世界陸上競技選手権大会(ブタペスト)の金メダリストです。これまでの自己ベストは室内で跳んだ2m06cm(2021年)でした。この日は、自己新となる2m07cmを2回目にジャンプ。そして、2m10cmの世界新は1回目で成功しました。
「信じられないジャンプでした」とマフチフ選手。優勝も決まりパリ五輪も近いことから、自己新となる2m07cmを跳んだ時点で控える選択もあったようですが、「もちろん五輪のほうが大事ですが、心の中でできると信じていた」と挑戦しました。欧州選手権前にはケガをしていましたが、「戦う準備ができています。オリンピックもすばらしい大会になる。楽しみです」とコメントしています。
ロシアのウクライナ侵攻により故郷(ドニプロペトロウシク州)から避難したマフチフ選手は、「ついに私は世界陸上の歴史にウクライナの名を刻んだ」とコメント。ゼレンスキー大統領は、「37年間続いた記録を破り、ウクライナ人の勝利への真の意思を全世界に知らしめた。ヤロスラワ、ウクライナ国旗を高く掲げ、わが国と国民のために勝利を収めてくれて感謝する」と祝意を表しました。
インタビュー(РБК-Україна)でヤロスラワ・マフチフ選手は、世界新記録を樹立できたことについて、母国ウクライナのすべて人々に感謝します。そして、最前線を守る兵士の皆さんのおかげで大会出場機会が得られ、そして良い結果も出せたと述べています。最後に「私はあなたのおかげで生きている、ありがとう」と語りました。
ファッション誌「ELLE」などでモデルを務めたことがあり、“ウクライナの妖精”とも言われます。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ドニプロペトロウシク州生まれのマフチフさんも避難生活を経験しています。そんな中で昨年のブダペスト世界陸上で初優勝します。「大会ではいつもウクライナの人々を喜ばせたいと思っています。ニュースを見るたびに悲しくなるけれど、24年ぶりのメダルを母国にもたらせて嬉しいです」と語っていました。
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