その美しい体型から英語で Sea Swallow(ウミツバメ)、Blue Angel(青い天使)、Blue Dragon(青い竜)などと呼ばれるアオミノウミウシ(青蓑海牛、Glaucus atlanticus)は、「海のナメクジ」と呼ばれるウミウシ類の仲間です。外洋性で普通は沿岸部では見られませんが、米テキサス州のパドレ島国立海岸(Padre Island National Seashore)で、突如アオミノウミウシが集団で海岸に漂着し、目撃情報が相次いでいます。体長は3センチほどで刺されると強い痛みを感じます(^^)
- 珍しい「ブルードラゴン」、目撃情報が突如として急増 米テキサス州(5/11 CNN)
海の天使のようなその優雅な姿とは裏腹に肉食性です。主にクラゲ類のような浮遊性刺胞動物に取りついて移動手段にするだけでなく、栄養源として捕食します。特に猛毒の刺胞を持つカツオノエボシやギンカクラゲといった種を好み、クラゲの毒を体内に蓄積しながら食べてしまいます。
オーストラリアの Paul Stewartさんが撮影したアオミノウミウシ(Glaucus atlanticus)の写真集があります。下記では11枚の写真が見れます。
- paulhypnos:albums(Flickr)
消化器に空気を入れ、水面側に身体のお腹側を向けて浮遊します。そのため、アオミノウミウシの写真は全て身体の表側と裏側がひっくり返った状態です。波の流れと自らの遊泳(YouTube)によって移動します。
その美しさと優雅さに惹かれても、直接手で触れることは危険です。2017年には、オーストラリア中東部を襲った46度の記録的熱波の影響からクイーンズランド州沿岸部一帯でアオミノウミウシが大発生し、触れたサーファーや海水浴客63人が毒の被害に遭ったことが報じられています。
- 46℃の熱波でコウモリ大量死、海に逃げた市民をアオミノウミウシの毒針が襲う(2/14, 2017 GIZMODO)