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Seratech

カーボンニュートラルなコンクリートを可能にするセメント製造法を考案

インペリアル・カレッジ・ロンドンの博士課程で学ぶサム・ドレイパー(Sam Draper)氏と同僚研究員のバーニー・シャンクス(Barney Shanks)氏は、共同でカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)なコンクリートを可能にするセメント製造法を考案しました。2020年から実験を進めて21年にセラテック社(Seratech Ltd)を立ち上げています。2022年「人間と地球に貢献する建築を奨励する国際的な賞」、オベル賞(OBEL AWARD)を受賞しています。

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Sam Draper(right), Barney Shanks / Helene Sandberg

2人が考案した方法は、カンラン石という豊富に存在する鉱物を、マグネシウムとシリカに分解するところから始まります。生成されたシリカは、コンクリートで使われるポルトランドセメントの35~45%を直接置き換えることが可能となります。マグネシウムのほうは二酸化炭素と結合して炭酸マグネシウムに変化した後、建設資材として焼成粘土レンガや石膏(せっこう)ボードの代替品などに使われます。

ドレイパー氏いわく、製造過程で発生した二酸化炭素は、大気中に排出する代わりにセメント工場の煙突から回収できるため、この方法で製造されたコンクリートはカーボンニュートラルになります。また炭酸マグネシウムは安定した炭素貯留先になります。「炭素隔離の観点から言えば、建設業の利点のひとつは巨大でカサがあることだ。おかげで大量の二酸化炭素を貯留できる」と言います。

セラテック社のセメントは性能の面で、「業界の最高基準」となるポルトランドセメントと変わらないとドレイパー氏は言い、建設業界で受け入れられるにはその点が重要だと指摘、「この点が低炭素技術の大きな原動力になると思う」と語ります。「見た目も触感も同じでなくてはならない。まったく同じものでないと、実社会では使ってもらえない。非常にうれしいことに、我々はその点でかなり成功したと言えると思う」と述べています。



ドレイパー氏は同社のセメントについて、現在は研究段階のため非常に高価だと認めつつも、規模が拡大すればコスト面でポルトランドセメントと張り合えるだろう指摘しています。セラテック社は2025年前半までに実際の建物でセメントの検証を行う計画で、2027年までに大規模な実地試用に着手し、複数の事業にセメントを供給したいと考えています。

注目される炭素循環プロセスとカンラン石(ペリドット)



他にもいくつかのスタートアップ企業が、コンクリートに二酸化炭素を直接貯留する方法を模索しています。アラブ首長国連邦(UAE)では、コンクリートのカーボンフットプリントを削減しつつ、別の環境問題の対策にもなるような方法が研究されています。

コンクリートによるCO2排出量をマイナスにする方法(TED: Tom Schuler)


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