価格においては「クリーンエネルギーが化石燃料を淘汰するのは必至」と、技術者で作家のラメズ・ナム(Ramez Naam)氏は言います。しかし、「うちの裏庭にはイヤ」キャンペーンがはびこる中で、建設へのためらいが「持続可能な未来の創造」を阻んでいます。ナム氏はクリーンエネルギーの邪魔をすることをやめて、さらに力強く、安定した再生可能エネルギー網を築くための変革事項をまとめています。彼は「今こそ建設の時」と語ります。
- TED Speaker/TED Attendee: Ramez Naam(Climate tech investor, clean energy advocate, author)
ナム氏は「今日この場にいられて光栄です。私のお届けしたいメッセージは単純です。クリーンエネルギーは価格で勝ちます。圧勝です。我々が邪魔をせず、その建設を許すならですが・・」と語り始めます。
ソーラーパネルの価格は国際エネルギー機関(IEA)の予想より10倍も早く下がり、私の予想の2倍の早さでした。クリーンエネルギーはテクノロジーなのです。技術革新の成長速度を誤ったことで、価格の下落スピードを低く推定してしまいました。
この傾向はソーラーだけに限りません。各種クリーンエネルギー技術に広く当てはまります。「ソーラーの価格」は過去2、30年間に、40分の1への下落しました。「風力の価格」もほぼ同じくらい下がり、浮体式やそれ以外の洋上風力も今や加速度的に安くなっています。電気自動車や配電網のエネルギー貯蔵を支える「蓄電池の価格」も、ソーラーと同じペースかそれ以上に早く下がっています。「水素やその他の燃料を作るクリーン電気価格」についても、これからまだまだ飛躍的に下がっていき、その燃料を使って製造業を動かし、配電網に数週間分、数か月分の電気を貯蔵し、飛行機に使う燃料も供給でき、輸送などにも使えます。
クリーンエネルギーを展開したければ、その設置を実際に許可せねばなりません。それより更に大きな問題はこれです。「送電網の増設」が必要なのです。ソーラーや風力は、天候に左右されますから、これらは化石燃料よりも大陸規模の送電網によって恩恵を受けます。なのに、「うちの裏庭はダメ」問題や許認可の問題が「送電網の増設」を阻んでいます。
送電網が必要な理由は「日射量」や「自然条件」のバラツキです。欧州のソーラー源では日射量が多いのは南部です。ちなみに殆どの風力は、もちろん北部です。最も安定した電力を最安値で、最低の炭素排出量で、最もクリーンなエネルギー展開を望むなら。大陸規模の送電網が要ります。中国や米国でも大陸規模の送電網の建設がクリーンエネルギーへの移行を加速します。どこの国でも送電網は最重要です。
最後に「化石燃料と同等の条件ならクリーンエネルギーが未来を席巻します。もしクリーンエネルギーが経済的に化石燃料を粉砕するという、この何十年と続いている変革に確信があるなら、我々は邪魔することをやめるのが論理的な結論です。許認可を単純にして建設を促すことです。今こそ建設の時です」と語ります。
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