パリ協定は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、できれば1.5度未満にすることを目指すものです。協定参加国のうち、これまでに批准・受諾・承認・加入手続きを実施していない国は、アンゴラ、エリトリア、イラン、イラク、キルギス、レバノン、リビア、南スーダン、トルコ、イエメンです。2017年6月に米トランプ政権は離脱を表明、2021年1月に第46代米国大統領となったバイデン政権は、初執務としてパリ協定復帰の大統領令に署名・発効させました。しかし、2025年1月20日、第47代米国大統領となったトランプ政権は、再度パリ協定から脱退する大統領令に署名・発効させました。
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- PUTTING AMERICA FIRST IN INTERNATIONAL ENVIRONMENTAL AGREEMENTS(1/20 EXECUTIVE ORDER / whitehouse.gov)
トランプ氏は1月20日の就任演説で、バイデン前政権による脱炭素社会・経済を目指す政策を「終わりにする」と言明しました。前政権が掲げたEV(電気自動車)普及策の撤回や、沖合を含む連邦政府所有地でのエネルギー開発推進などを盛り込んだ大統領令にも署名しました。
また「国家エネルギー非常事態」を宣言。石油増産を後押しすることでエネルギー価格を引き下げ、国民の間に根強い物価高への不満に対処する姿勢を強調しました。「(石油を)掘って掘って掘りまくれ」と、選挙運動中のスローガンを改めて持ち出しました。
科学者たちは今月に入り、昨年、初めて地球の気温上昇が産業革命前の水準と比較して1.5度を超えたと発表しました。1.5度は世界の指導者たちがパリ協定を締結した際に目指していた目標です。これを超えると人間や自然界が適応する能力を上回るとされています。
State parties
Signatories
Parties also covered by European Union ratification
Agreement does not apply
石油や天然ガスなど化石燃料を増産するのは、米国の「エネルギー支配」を実現する狙いもあります。トランプ氏は「世界各国に米国のエネルギーを輸出し、再び豊かな国になる」と訴えました。トランプ氏は各省庁トップに対し、緊急に物価引き下げを実現するよう命じる大統領令にも署名。住宅価格や医療費の押し下げ、住宅供給の拡大などに関する措置が今後見込まれます。
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