アマゾン川を覗き込んでいたあなたは、足を踏み外して転落します。水中をピラニアが急接近して飛び回ります。さて、あなたは絶体絶命なのでしょうか？ 転落の音が引き金となって、あなたの体が数分で骸骨化するような狂乱索餌が起こるのでしょうか？ 生物学者のアントニオ・マチャド＝アリソン（Antonio Machado-Allison）さんが、この獰猛と言われる魚について解ってことを紹介します。
ピラニアの種類は30種類以上あります。すべて南米の淡水に生息しており、それぞれの顎に1列の鋭い噛み合う歯があります。 彼らは歯をさまざまな方法で使います。多くは雑食性で、昆虫、甲殻類、虫、魚などを食べ、さらに果物、種子、その他植物なども食べています。
一般的にアカハラピラニアは特に攻撃的であると考えられています。しかし、彼らの群れによる貪欲な狩りに関する評判は誤解されています。彼らの集団生活の主な利点は、協力して狩りをすることではなく、多くの捕食者から身を守ることであると考えられています。
アカハラピラニアは、いつ人間に対して攻撃的になるのでしょうか？ 人が水の中で食べ物をこぼしたり、漁獲物の内蔵などを掃除したりしているときなどです。また、雨季にピラニアが交尾したり卵を守ったりしているときに、人々がピラニアを妨害したときです。飢餓のストレスも、アカハラピラニアを大胆で攻撃的な行動に導くと考えられています。
ピラニアが棲む水域に落ちたらどうなるでしょうか？ これらがアカハラピラニアであると仮定しましょう。アマゾン川なので飢えていることはないはずです。大量の魚の内臓と一緒に水に入ったわけでもありません。そして、ピラニアの繁殖を妨害してはいけません。あなたが転落して来ると、ピラニアはおそらくあなたを避けます。水しぶきはピラニアを引き寄せると考えられているため、静かにゆっくりと泳ぐか岸に向かって歩くことが推奨されます。 確かに、彼らはダメージを与える歯列を備えていますが、人間を攻撃することはほとんどありません。
ピラニアは、なぜ国際的に悪名が高いのでしょうか。これは、少なからず元米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトが、1914年2月に従来より興味を抱いていたアマゾン川流域の探検に乗り出し、帰国後に探検手記を出版したのですが、その中でピラニアを「世界で最も獰猛な魚」と呼び、血の匂いがピラニアを刺激し、牛や人間を生きたまま丸ごと食べてしまう可能性があると書いたことにあります。
- セオドア・ルーズベルト：南米探検（Wikipedia）
ルーズベルトが目撃した「狂乱索餌」は、人々が意図的にアカハラピラニアを飢えさせ、牛の死骸を食べる機会を与えた結果ではないかと疑われています。—すべてはエキサイティングなショーを見せるためなのです。
- Roosevelt–Rondon Scientific Expedition（en:Wikipedia）
- Through the Brazilian Wilderness by Theodore Roosevelt（gutenberg.org）