11年間をかけて、ジャン・ベリヴォー(Jean Béliveau)は、地球を徒歩で一周することを目指し、国から国へと歩きました。これほど極端な距離を歩く時間や意欲がある人はほぼいないとはいえ、研究によると、日常生活にわずかでも歩く時間を加えることで、健康が劇的に改善されることが示されています。では、歩数を増やすと体に何が起こるのでしょうか。シャノン・オデル(Shannon Odell)博士が調べて説明します。

研究によれば、日常生活に少しでも歩く習慣を加えることで、健康状態を劇的に改善できることが判っています。では、日々の歩数を増やすと体にどのようなことが起こるのでしょうか。午後の散歩1回でも気分が改善し、不安やうつの症状を和らげることができます。特に早歩きは、痛みを和らげるエンドルフィンの放出を促し、ストレスホルモンであるコルチゾールを抑制すると考えられます。
日課に、より多くの歩数が追加されると数週間以内に体が適応し始めます。一見簡単そうに見えても、ウォーキングは脚、体幹、背中の多くの筋肉の協調と努力を必要とします。エネルギー需要の増加に対応するために、筋肉周辺の血管は再構築され、より多くの酸素を供給できるようになります。同時に心臓は、一段と効率的に血液を送るようになります。数ヶ月以内に、これらの変化は血圧を下げ、心臓発作や脳卒中のリスクを低減させます。

歩行中には自分の体重を支えることで、骨へ負荷がかかりますが、この負荷は実際には骨を強くし、カルシウムやミネラルの吸収を促進します。そのため、長年の継続的な歩行が加齢とともに低下しがちな骨密度の維持に役立ちます。生涯にわたる歩行習慣には、他にも多くの利点があります。体重の管理に役立つのをはじめ、2型糖尿病、さまざまなガン、認知症のリスクも低減します。
活動量計は、通常一万歩が理想的な標準であるとうたいますが、研究では日々の歩数を少し増やすだけでも、健康効果を得られることが示されています。必ずしも一続きで歩く必要はありません。徒歩圏内に便利なお店や施設がある地域に住んでいる人々は、日常的に自然と歩数を積み重ねていきます。仕事や買い物、友達に会うためにと歩くからです。徒歩で簡単に行ける地域に住むことには独自の利点があります。

こうした地区に住む人は、往々にして車への依存が低くなるため、空気の質が改善され地域への温室効果ガス排出も低減されます。歩行はあなたの世界観を変える可能性さえあります。香港の高齢者を対象にした研究では、徒歩圏が整った地域に住んでいる人々は、あまり歩かない地域の人々よりも孤独感が少なく、生活満足度が高いということが確認されています。
歩行者に優しい地域を作る方法では2013年、バンクーバー市当局はコモックス=ヘルムケン・グリーンウェイ(Comox-Helmcken Greenway)という2キロにわたる区間を徒歩と自転車用に改修した道路を開通させました。調査によると、開通以降、グリーンウェイ付近の住民の運動量は増加し、日々の車移動が23%減少することで、個人の温室効果ガス排出量は21%削減されました。小さな対策でも効果があります。米バーモント州のべセル(Bethel)という所では、地域住民が市内をもっと歩きやすくしようと、カラフルな横断歩道や交差点などに縁石を張り出す工夫を加えました。
- Izuho Kondo, Translator Masami Mutsukado and Kacie Wright, Reviewer(日本語字幕を読む)
- 一日一万歩 本当に歩かなければならないの? | シャノン・オデル(TED)