世界経済フォーラム(WEF)は、6月12日に世界男女格差指数(Global Gender Gap Index)の2024年版を発表しました。これは政治参加、経済、教育、それに医療へのアクセスの4分野14項目のデータを基にして、各国の男女の格差を分析した指数です。日本は、調査対象となった世界146カ国のうち118位(2023年は125位)となり、昨年から順位を上げましたが、先進国最低水準に留まっています。分野別(昨年順位)では政治参加は113位(138)、経済が120位(123)、教育は72位(47)、医療は58位(59)です。日本経済の長期低迷(日本病)、改善しない少子化、幸福度ランキングの低さの最大要因です。
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世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 - Global Gender Gap Report 2024(6/11 WEF)
今年で18回目となる2024年世界男女格差指数です。世界で最もジェンダー平等が進んでいるのは、15年連続でアイスランド。同国はジェンダー・ギャップを90%以上を解消し続けている唯一の国です。上位9か国(アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン、ニカラグア、ドイツ、ナミビア、アイルランド)は、少なくとも80%の男女平等を達成しています。
2024年のG7各国の順位(昨年)は、ドイツが7位(6位)、フランスが22位(40位)、英国は14位(15位)、カナダ36位(30位)、米国43位(43位)、そしてイタリアは87位(79位)。日本118位(125位)は当然のように最下位です。お隣りの韓国94位(105位)、中国106位(107位)、ウクライナは63位(66位)。日本の順位付近(以下)の国では、マレーシア114位、ネパール117位、サウジアラビア126位、インド129位となっています。
- Economy Profiles Japan 2024(WEF)
- Economy Profiles Japan 2024(pdf / Download scorecard)
日本が属する東アジアと太平洋地域(19カ国)では、ニュージーランド(4位)やフィリピン(25位)などの国がこの地域をリードしています。日本は最下位のフィジー共和国128位に次ぐ118位にリストされています。
2024年、女性の労働力参加におけるジェンダー・パリティは改善したものの、地域差は依然として大きいままです。リンクトイン(Linkedin)のデータによると、業界レベルでは女性の労働力比率はほぼすべての業界と経済圏で男性を下回っており、グローバルな労働力の42%、シニアリーダーの31.7%が女性です。さらに、職業上のネットワークや育児・介護負担におけるジェンダー・ギャップなどの要因が、女性の経済的進歩を遅らせています。世界銀行は、雇用と起業におけるジェンダー・ギャップを解消すれば、世界のGDPを20%以上増加させることができると見積もっています。
「2022年をピークに、女性のリーダー職への登用が減り始めています。世界経済が冷え込む中、不釣り合いに打撃を受けているのは女性であり、女性が会社で働くことを妨げている構造的課題が強化されています」とリンクトインのグローバル・パブリック・ポリシーとエコノミック・グラフ担当バイスプレジデントのスー・デューク氏は述べています。
「生成AIが労働市場に影響を及ぼし始め、雇用主が最も重視するスキルが再調整される中、私たちは極めて重要な局面を迎えています。雇用主は、スキル向上のプログラムや施策を性別に関係なくすべての従業員に対して公正かつ平等に提供されるようにすることが重要です」と指摘しています。
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世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子