2025年4月は、ロシアによるウクライナ侵攻開始以来、民間人に最も多くの死者を出した月の一つとなっています。ロシアのシャヘド・ドローンがウクライナの都市を攻撃し続ける中、ウクライナのエンジニアたちは最先端の防空システム(Sky Sentinel)を開発。AI制御の砲塔は、従来の火力と最新技術を融合させて、ドローンや巡航ミサイルを追跡・撃墜します。ウクライナの都市防衛ネットワークの重要な基盤となる可能性があります。
- AI制御でシャヘドを撃ち落とす「ロボット歩哨」、ウクライナが導入へ(5/30 Forbes Japan)
- ロシアのシャヘド自爆ドローン、ジェットエンジンやAI搭載型も出現 迎撃の難易度上がる(6/25 Forbes Japan)
- デビッド・ハムブリング(David Hambling) Forbes Japan記事一覧

レーダー誘導式兵器の「スカイ・センチネル(空の歩哨)」は、人間の介入なしで機能し、ドローンや巡航ミサイルを自動で撃墜する回転銃塔です。ロシアのエスカレートするドローン攻撃は、都市を襲撃して国民の戦意をくじこうとしています。今回の募金活動では10基の調達のために150万ドル(約2億2,000万円)を集めることが目標とされ、6月27日に達成しました。
最近のシャヘド自爆ドローンは、破片弾頭やクラスター弾頭を搭載しています。民間人の死傷者を最大化することを狙った意図的な攻撃です。一部のシャヘドは地対空ミサイルや戦闘機によって撃墜されていますが、毎晩数百機のドローンを迎撃できるほどの数のミサイルは、ウクライナのみならず世界のどの国も持っていません。
現在、ウクライナでシャヘドのかなりの割合を撃墜しているのは機動防空部隊です。各部隊は防空網のシステムとつながっていて、サーマルイメージング(熱画像)カメラでドローンを捉えて機関砲か重機関銃で撃ち落とします。こうした部隊は非常に有効なものの、ほかの人間の部隊と同様に限界もあります。
プロトタイプのスカイ・センチネル(空の歩哨)が実際に稼働している様子を下記の独占映像でご覧ください。
スカイ・センチネルのAI制御システムは完全にウクライナで開発されたものです。風速や風向きといった複数の変数に対応し、鳥のようなほかの飛行物体からドローンを識別できます。空中目標に銃弾を当てるにはきわめて高い精度が求められ、開発元によればこの点が最も大きな課題の一つだったと言います。
スカイ・センチネルはドローンの撃墜に特化した設計になっており、米国が開発したコンピュータ制御・レーダー誘導の近接防空システム(CIWS)「ファランクス」の低コスト版と見ることもできます。ロケット弾や砲弾には対応していません。半面、コストは従来のシステムの100分の1程度に抑えられており、ウクライナにとってニーズを満たしつつ、手ごろな費用で導入できる迎撃システムです。ユニット1基あたりの価格は約15万ドル(約2,160万円)で、都市を効果的に防衛するには10基から30基が必要とされています。
機械として申し分のないプロトタイプを製作できたとしても、同じ精度を量産体制で達成するのはまた別のことです。ただ、開発元は「絶対に実現可能」だと自信を示しています。ユナイテッド24(United24)は、6月27日に10基を購入できるだけの資金を集めましたが、引き続き費用対効果の高いAI制御スカイ・センチネルの調達資金を募っています。
- Sky Sentinel: fundraiser for peaceful nights(United24)
- Sky Sentinel is complete — $1,500,000 raised for peaceful nights(Facebook)
