気候変動により世界的に気温が高く乾燥しているため森林火災が頻繁に発生、温暖化に拍車をかけ悪循環となっています。これまで低解像度の衛星画像で1日に数回しか更新されないため、山火事がサッカー場よりも大きくなるまで発見するのが困難でした。Google ResearchはEDFとMuon Spaceと提携して、小規模な火災をより正確に検知、追跡できるカスタム赤外線センサーと、AIを採用した衛星群「FireSat」を開発しました。地球上の 5x5m 区画について20分ごとに更新される高解像度の衛星画像を比較し、場所の特性や天候の要素も組み合わせて火災があるかどうかを判断します。
- Earth Fire Alliance(Website)
- A breakthrough in wildfire detection: How a new constellation of satellites can detect smaller wildfires earlier(9/16 Google Research)
FireSatは、森林火災の検出と追跡に特化した52基の低軌道(LEO)衛星群です。打ち上げ後は、20分ごとに更新される高解像度の衛星画像を世界中に提供し、教室ほどの広さの山火事の検出が可能になります。
FireSatでは AIを使って、現在の画像を同じ場所の過去の1,000枚の画像と比較し、現地の天候やその他の要因を考慮して、画像内に火災が存在するかどうかを確実に判断します。このデータは緊急対応活動に加えて、火災の拡大やその他の変動(自然環境や野生動物の変化など)を理解して予測する科学者にも提供されます。また、山火事の行動モデルを改善するための貴重な新しいデータセットを科学者に提供します。
この画期的な取り組みを始めるにあたり、Google.orgは「Earth Fire Alliance」が主導する取り組みを支援するため、1,300万ドル(約18億円)の資金を提供しました。Earth Fire Allianceは、ゴードン・アンド・ベティ・ムーア財団(Moore Foundation)と提携して 衛星群「FireSat」を打ち上げるために設立された非営利団体です。「Muon Space」は、2025年初頭に最初の衛星を打ち上げ、数年以内に完全な衛星群「FireSat」を打ち上げる予定です。
2025年初頭に打ち上げられる FireSatの第1フェーズでは、最先端の6バンドマルチスペクトル赤外線(IR)機器を搭載した3機の Muon Halo™衛星で構成されます。FireSatは、火災のすべてのライフサイクルにわたって火災特性データを取得するように設計されており、意思決定者と最初の対応者にほぼリアルタイムの情報を提供し、火災管理手法に基づいた対応を可能にします。
最初の3機の衛星により、FireSatは地球上のすべての地点を1日に少なくとも2回観測し、主要な山火事が発生しやすい地域をより頻繁に再訪します。50機以上の衛星でフル稼働すると、地球のほとんどの再訪時間は20分に改善され、山火事が最も発生しやすい地域では、サンプリング間隔が最短で9分となります。
森林火災の問題は今後数十年の間に、地球上の多くの地域でさらに悪化すると予想されています。猛烈な火災は、コミュニティや緊急対応職員、大気環境、人体、森林に被害をもたらすばかりでなく、気候変動対策におけるわずかばかりの進展をも脅かします。
- 52基の人工衛星とAIで世界中の山火事を見張るグーグルの新プロジェクト(9/25 MIT Technology Review)
Advancing wildfire research using simulations and high performance computing
- FireBench(Google Research)