生体医用工学者エリザベス・ウェイン(Dr.Elizabeth Wayne)博士は、私たちは何十年も何十億ドルもかけた臨床試験を続けてきましたが、まだ抗がん剤のドラッグデリバリーの問題が残っていると言います。化学療法はがん細胞を殺しますが、患者の体の他の細胞も殺してしまいます。
がんと戦うために、人工的なデザインを使う代わりに、自然のデザインを使ってみたらどうでしょうか?
ウェイン博士は、彼女の研究室がどのようにして、ナノ粒子を使った治療法を開発したかを語っています。
その治療法は、体内で最初にがん細胞に反応する免疫細胞にナノ粒子を結合させて、健康細胞を害することなく、がん細胞を正確に攻撃するというものです。
図のように2つの特別な分子(接着剤とタンパク質製剤)を追加して、免疫細胞を乗り物にした巧みな「がん細胞殺害マシーン」ができます。
マウスでの実験では、驚くほど素晴らしい結果が出ています。
「くっつき粒子(Sticky balls)が、がんの転移を防ぐ可能性」として、ウェイン博士が「お気に入りの見出し」で記事にもなりました(笑)
これはドラッグデリバリーにおける勝利であり、パラダイムシフト、革命です。
単に薬品を使って注射し、体のしかるべき部位に到達するのを期待する方法から、体内で薬品を届ける役割を「免疫細胞」に委ねる方法への転換です。
ウェイン博士は、病気の生じたところに「免疫細胞」は駆けつけます。したがって「この方法はどんな病気にも使えます」と語っています(拍手)
- TED Speaker/TED Attendee: Elizabeth Wayne(Biomedical engineer)
- Japanese translation by Hiroko Kawano. Reviewed by Masaki Yanagishita.(日本語字幕を読む)