サルが自分撮りした写真は自分の著作物だとして、写真家デビット・スレーター(David Slater)氏が Wikipediaに対して当該写真の削除を求め、Wikipedia側が拒絶した問題に関連して、米著作権局(U. S. Copyright Office)は Wikipedia側の見解を認め「著作権のガイドライン・第三版(英語)」を公開しています。このサルの自分撮り写真は傑作ですね(^^)


米著作権局は、著作権が成立するためには人間によるオーサーシップが必要条件となるとの要件を示しています。
サルが自分撮りした写真、ゾウが自分で描いた絵画、自然動物の体の模様、海洋の波によって削られて作られた流木、自然石の断面の模様、神の名の元で作られた讃美歌の歌の題名などは著作権の対象にはならないとする判断(Chapter 300:8)を示しました。
- 「象が描いた、象の絵」を飾ってみる(2012 roomie.jp)

また同様な事例として、米著作権局は人間の関与なしで機械や、機械的なプロセスによってランダムか、もしくは自動的に生成された作品についても著作権の対象にはならないとする判断(Chapter 300:9)を示しました。
- チンパンジーの描いた絵が270万円で落札される(06,2005 ABCdane.net)
著作権法が、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しています。著作権はいまのところ「人間以外の著作物を対象としない」ようです。未来的には、機械の定義にもよりますが、知能や創造性が芽生えた人工知能(AI)が創作した芸術作品も出現すると思いますが・・・(^^)
- Compendium of U.S. Copyright Office Practices, Third Edition(U.S. Copyright Office)
- Animal-made art(en:Wikipedia)動物によるアート作品
- サルによる自分撮りは著作権の対象とはならない、米著作権局が公式見解(businessnewsline)
<追記:5/23, 2023>
米国著作権局は、AIツールを使用して生成された作品の著作権の範囲やAIトレーニングでの著作権保護素材の使用など、人工知能(AI)技術によって引き起こされる著作権法と政策問題を検討する取り組みを開始しました。日本でも早急に開始しましょう。
