英オックスフォード大学と米スタンフォード大学の研究チームが、蚊の羽音でマラリアを媒介する蚊(マラリア原虫をもったハマダラカの一部)を識別しようとしています。今回開発したセンサーシステムは、高性能となったスマホで「蚊の羽音」を時間や場所と合わせて記録し、その記録データをサーバーに送信し、羽音の違いを機械学習(AI)によって分析することで「蚊の種」を識別するモズウェア(MozzWear)というスマホアプリです。
- HumBug: Home(humbug.ox.ac.uk)
- Using mobile phones as acoustic sensors for high-throughput mosquito surveillance(elifesciences.org)
WHOによれば2015年には91の国と地域でマラリアが流行し、推定でマラリア患者が約2億1,200万人、マラリア死亡者が約43万人でした。
特に5歳未満の子どもが感染症や病気に罹りやすく、2分毎に1人の子どもの命が奪われています。
世界には合計3,500種の蚊が存在します。約100種のハマダラカがヒトにマラリアを媒介できますが、マラリア原虫をヒトに媒介しているのは、そのうちの30から40種だけのようです。
また、カ(蚊)のヤブカ属(ネッタイシマカなど)が媒介するチクングニヤ熱や、2015〜2016年に大流行したジカ熱、そしてデング熱なども世界的に問題となっています。
研究チームは、危険な病原体を媒介するカ(蚊)の高精度の識別と、世界分布データベースの構築を目指しています。世界中に広く普及させることで、カ(蚊)の個体数の地域ごとの変化を調べて、ハマダラカや危険な蚊の蔓延を防止したいとしています。
- Mosquito detection with low-cost smartphones: dataacquisition for malaria research(pdf / University of Oxford)
- Using mobile phones as acoustic sensors for high-throughput mosquito surveillance(elifesciences.org)
- Dengue: crean una app para identificar a los mosquitos peligrosos(clarin.com)