約11,000種にのぼる刺胞動物に属する、クダクラゲ目(管クラゲ目、Siphonophorae)の仲間には、地球で最長の生物がいるようです。世界遺産ニンガルー・リーフ深海域の生物多様性を調査しているニンガルーキャニオンズ調査隊が、長さが120mを超えていると推測される「ヒモ状の生物」の映像を公開しました。クダクラゲの一種であるマヨイアイオイクラゲは、全体の長さが40-50mを超えることもあり、世界最長の生物としても知られていますが、これは「アポレミア(Apolemia)」のようです。
- Giant Siphonophore Documented on #NingalooCanyons Expedition ~ ROV Footage(Schmidt Ocean Institute)
- Otherworldly, String-Like Organism Spotted in Deep Sea Is Made Up of ‘Millions of Interconnected Clones’(newsweek.com)
アポレミアは、数千から数百万単位の個体が連なって細長い形状になっています。単一の受精卵から生まれたアポレミアの各個体は、「神経毒のある触手を広げる個体」「獲物を消化する個体」「移動のために海水を噴出する個体」「精子や卵子を生成して生殖する個体」などの役割分担を行いながら群体を構成し、1つの生物のように高度に体を融合させています。
調査隊は、ROV(遠隔操作型の無人潜水艦)とソナーを使って、この生物を発見しました。クダクラゲはよく知られた生物ですが、これほど巨大で長いものは初めてだそうです。研究員によると、発見されたクダクラゲの年齢は、少なくとも数十年、最大で百年は超えているとのことです。
クダクラゲ目の生物は、このアポレミアも含めて、無性生殖によりクローン増殖します。生態では外洋域に浮遊するものがほとんどです。カツオノエボシなどは浅瀬に出現し、強い刺胞毒をもつことで有名ですが、まだまだ、その形状や生態も含めて「未知の生物」「驚異の生物」がいるようです(^^)