米テキサス州のコンロー高校(Conroe High School)を5月に卒業した18歳のオーロラ・スカイ・カストナー(Aurora Sky Castner)さんは、この秋から全額支給奨学金を受給してハーバード大学に通います。地元紙クーリエ(The Courier)によると、カストナーさんの母親は出産時にガルベストン郡刑務所に収監されていました。カストナーさんは刑務所内で生まれ、父親が引き取りシングルファザーで育ちました。貧しい環境にあったカストナーさんが、ハーバード大学に合格するまでには、コミュニティの人々による助けと愛がありました。大学出願エッセイのタイトルは「私は刑務所で生まれた」です。
- Conroe grad, born in jail and now headed to Harvard, credits mentorship and laser focus on her dream(5/25 The Courier)
- Academy for Science & Health, Conroe ISD(Facebook)
カストナーさんは父親の関係でモンゴメリー郡内で引越しを繰り返していました。クーリエによると、成績が良く読書好きのカストナーさんをみて、通っていた小学校のスタッフが学区(Conroe ISD)のメンタープログラム(Project Mentor)を紹介しました。このプログラムは、助けが必要な生徒と地域の大人をつなぎ、子どもたちがより良い学校や私生活を送るのを助けるというもので、メンターになったのは自身も母親がいない環境で育ったモナ・ハンビー(Mona Hamby)さんでした。
モナさんは、母親との関わりを持たずに育ったオーロラさんとの出会いについて、「まず私は、彼女について書かれた1枚の紙をもらったの。そこには ”私のヒーローは公民権運動活動家のローザ・パークス。好きな食べ物はチェーン店デイリークイーンのタコス。そして読書が大好き” と書かれていてね。とても頭のいい子だと思ったわ。私は今でもその紙を持っているのよ」と語っています。
当時8歳だったオーロラさんは、モナさんに「私は刑務所に行ったことがある」と話をしたそうで、モナさんは「まさか、何かの間違いでしょう」と言い返したといいます。実際のところ、オーロラさんが実母と話をしたのは14歳の時に一度だけだったそうですが、モナさんはすぐに「この子とは週に1回の食事だけでは足らない。私にはもっと彼女との時間が必要」と悟ったといいます。
コンロー高校では科学や数学、医療、法律などの分野を志す学生を支援するプログラムにも参加して勉学に励みます。2022年春の地元ライオンズクラブのスピーチコンテストでは、オピオイド(医療用麻薬)のリスクについて語って優勝、2,000ドルの奨学金を手にしています。(上記写真)
ハーバード大学への出願エッセイについては、ボストン大学のジェームズ・ウォレス教授(James Wallace)の添削を受けて仕上げたそうです。昨年12月に合格したカストナーさんは、「ウォレス氏に助けられ、私のストーリーを可能な限り素晴らしく伝えることができたの!」と喜びを露わにしていたそうです。
今年5月25日に地元のコンロー高校を学年3位の成績で卒業しました。カストナーさんは大学の授業料と生活費を含むフルスカラシップ(全額支給奨学金)の獲得も果たしており、秋からは法律を専攻する予定ということです。また心理学や哲学にも興味を持っており、夢にまでみたハーバード大学での新生活を楽しみにしているそうです。
- 返済不要の大学奨学金、多子世帯なら年収600万円まで支援対象拡大…24年度から(4/4 読売新聞)