天安門事件は、1989年6月4日に学生を中心とした一般市民のデモ隊が北京の天安門広場に集結して民主化を訴えたところ、中国人民解放軍によって鎮圧が行われて多数の死傷者を出した事件です。いまも中国共産党は事件を重大なタブーと認定しており、中国国内ではインターネットなどを通じて天安門事件について知ることはできない状態となっています。
2019年は天安門事件の30周年となり中国は厳戒態勢になっています。そんな中、ドイツのライカ(Leica)が公開した広告動画が天安門事件を暗示しているとして炎上し、英語または中国語のキーワード「Leica」を含む投稿は、中国の SNSに掲載できなくなりました。
4月16日公開のCM動画には、天安門事件の際に戦車の前に丸腰で立ちはだり、戦車男(Tank Man)として有名になった男性(レンズに写り込んでいます)を、報道カメラマンが撮影する姿が描かれています。
ライカ(Leica)は、ファーウェイ(Huawei)製のスマートフォンに搭載されるカメラを開発するなどしており、中国でも大きな存在感を持っています。「The Hunt」というタイトルで公開された動画は、ブラジルの広告代理店F/Nazca Saatchi & Saatchiによって制作されました。いまはオリジナル広告動画は削除されています。
- F/Nazca Saatchi Saatchi(Facebook) オリジナルの「Leica – The Hunt」は削除
- “The Hunt” from Leica – Leica Camera’s ad depicting Tiananmen Square’s ‘Tank Man’ China(Shutter Tech / YouTube) 削除されました。
Leica "The Hunt" from Adolfo.Mesías on Vimeo.
ライカの広報は、4月21日 SNSで「炎上」した天安門事件を巡る広告動画について、同社は関与していないと表明しています。
- 独ライカ、中国で「炎上」した天安門事件動画との関係否定(4/22 ロイター)
- Leica Camera’s advert depicting Tiananmen Square’s ‘Tank Man’ causes uproar from Chinese online(4/19 South China Morning Post)