女性が先頭に立つと、往々にして偏見が付いてきます。ドキュメンタリー映画監督のロビン・ハウザー(Robin Hauser)氏は、リーダーの役割を担う女性たちが直面する、能力と好感度の間に生じるジレンマを掘り下げます。そこで彼女は、優れたリーダーであることの意味をゆがめる、無意識の思い込みや性差に基づく考え方を紐解いていきます。興味深い面白い講演です。
- TED Speaker/TED Attendee: Robin Hauser(Director of documentary films)
- Robin Hauser(IMDb)
私は兄弟の真ん中で、小さいときから挑戦することが好きでした。だから覚えている限り、競争したり、何かを成し遂げたり、自分の能力を発揮したりする欲望が絶えずありました。こう言われてきました「強烈」「エネルギッシュ」「好戦的」と・・褒められている感じがしない。だから、やる気を制御するようにしています。物腰柔らかく見えるようにと。疲れるのなんのって・・(笑)
私たちの社会では、女性がジェンダー規範を破るような行動をすると不利になるのです。私たちが思う男女の固定概念は、女性は「優しく」「面倒見がよく」「協力的」で「支えて」「人を立ててくれる」。男性は昔から「決断力があり」「能力が高く」「積極的」で「強くある」べきと。
去年の冬、スキー場で歩いていると男性が近づいてきてこう聞かれました。「旦那様かフィアンセとご一緒です?」 「いいえ」と答えリフトに向かいました。しかし好奇心が勝ちました。私は振り返り、彼になぜ「私が男性と一緒かどうか」を知りたいのか尋ねました。「タイムシェアを販売しているんです。不動産の類ですよ」・・(笑)
「女性には売らないの?」「ご興味がおありで?」「いいえ」・・(笑)「でも、女性だって小切手帳を持ってるってご存知よね?」 すると、彼は私を見て言いました。「あなたキツイお方ですね」・・(笑)
先週、カクテルパーティーに出席し、ある男性にどんな仕事をしているのか尋ねました。「フィンテック」だと答えました。面白い 、深堀をしました。「どの分野の?」、「複雑だから」・・(笑) 会話終了!
彼が私に長々と説明する時間を避けたかった可能性はありますが、意識的にしろ無意識にしろ、女性だから私には金融の話は分からないと。彼の偏見が彼にささやいた可能性のほうが高いです。いずれにしても、もし私が男性なら彼は「複雑だから」で片づけなかったと、確信しています。
女性政治家は議会のたった 25%しか占めていません。能力と好感度のジレンマは、政界だけでなく教育や職場でも多大な影響を及ぼしています。職場を対象に行った調査では、男女ともに参加する会議で女性は知識を提供する傾向が弱いという結果が出ています。女性として挑戦しろと言われて挑戦すると非難されます。
性別に関係なく、それぞれが提供する独自の貢献によって、お互いを評価しあえる日が来ることを望んでいます。その日こそ、人の目を気にする必要のない日となることでしょう。ただの私として存在できるのです。ありがとう (歓声)