大阪公立大学大学とパナソニック株式会社の研究グループは、活性酸素を含む帯電微粒子水(Nano-Sized Electrostatic Atomized Water Particles:NEAWPs)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化するメカニズムの一部を明らかにしました。活性酸素を含む帯電微粒子水により新型コロナウイルスのエンベロープ、RNA、タンパク質が破壊されて、宿主細胞の受容体へ結合する能力を失うことが分かりました。
- 新型コロナウイルスをバラバラに 世界初 ナノイー(帯電微粒子水)技術による不活化メカニズムの一部を解明(2/22 Press/Panasonic)
大阪公立大学大学院 獣医学研究科の安木真世准教授帯は、「電微粒子水(NEAWPs)はウイルスの特定の分子や構造を標的としているのではなく、ウイルスを構築するエンベロープ(envelope)やタンパク質(protein)、RNAと多段階で作用することを世界で初めてつきとめました。新型コロナウイルスの変異株はもちろんのこと、他のエンベロープウイルスへの適用も期待されます」と述べています。
- 帯電微粒子水(ナノイー)技術サイト(パナソニックグループ)
帯電微粒子水(NEAWPs)は、水に高電圧を印加することで生成される電荷を帯びたナノサイズの水粒子で、活性酸素の一種であるヒドロキシルラジカルを含みます。針状の放電電極と針の先端から距離を置いて設置された板状の対向電極で構成された発生装置で生成されます。
研究成果は、「Journal of Nanoparticle Research」誌に2022年5月3日(日本時間)に掲載されています。
- ウイルスをバラバラに!帯電微粒子水が新型コロナウイルスを不活化するメカニズムの一部を明らかに(6/8,2022 大阪公立大学)
- Mechanisms underlying inactivation of SARS-CoV-2 by nano-sized electrostatic atomized water particles(5/3, 2022 Journal of Nanoparticle Research)
新型コロナウイルスの曝露群(右写真)には、形態の歪み(エンベロープの損傷を示唆)が観察されています。
<写真:透過型電子顕微鏡を用いた新型コロナウイルスの形態観察>