川村カ子トアイヌ記念館は、旧近文コタン内に設立された、アイヌ文化の正しい伝承を目的とした私設の資料館です。1916年(大正5年)に上川アイヌの首長川村イタキシロマが、自宅とは別に「チセ」を建てて展示資料を公開する「アイヌ博物館」を開設、子息川村カ子トが測量の仕事で得た私財で展示資料を拡充して、「川村カ子トアイヌ記念館」に発展させました。現在の本館は1965年に建設したもので老朽化が進んでいるため、旭川市が国から交付金を受けて新館を隣に建設することになりました。<追記:7/15, 2023 新館オープンしました。下記YouTube>
- 「川村カ子トアイヌ記念館」新館がオープン 伝統舞踊も披露 旭川市(7/5 STVニュース)
- 川村カ子トアイヌ記念館(公式サイト)
- 「父は僕がやることを(館長になることを)喜んでくれると思う」川村晴道さん(9/16,2022 北海道経済)
川村カ子ト(かわむら カネト:1893年5月 – 1977年1月6)氏は、上川アイヌの長で日本国有鉄道の測量技師でした。国鉄退職後は「川村カ子トアイヌ記念館」の館長、旭川アイヌ民族史跡保存会長、旭川アイヌ民族工芸会長などを務めています。
アイヌ文化の正しい伝承を目的に設立され、日本最古で唯一の私設アイヌ資料館です。館内にはかつてアイヌ民族が使った生活用具や衣装など、二代目館長の川村カ子ト氏が収集したものを含めて約500点が展示されています。また、アイヌ衣装の無料貸出しや民族楽器ムックリの演奏、古式舞踊なども体験することができます。
川村カ子ト氏は、鉄道施設の優れた測量技師として有名となり、鉄道資料も数多く展示されています。2006年には敷地内にアイヌの伝統家屋である「チセ」を忠実に再現。記念館と同様に内部を見学できます。
「木彫りの熊」は、かつて北海道を代表する民芸品、郷土玩具として土産物の代表でした。旭川では、1926年(昭和元年)にアイヌの松井梅太郎氏が「木彫り熊」を作ったことをきっかけに、木彫り熊の生産が盛んになっていきます。
当時の旭川には第七師団があり、本州から来た軍人家族などへの土産物として人気となったということです。「旭川」の木彫り熊は、木彫り熊の発祥地という「八雲」の影響を受けているという説と、独自のものであるという説があります。1936年(昭和11年)に昭和天皇が北海道を行幸した際には、八雲と旭川からそれぞれ「木彫り熊」が献上されています。
- 八雲町郷土資料館/八雲町木彫り熊資料館(八雲町)
- 「木彫りの熊」はいつ鮭をくわえたのか? 意味と歴史を追って北海道へ(11/12,2020 中川政七商店)
7月15日、「川村カ子トアイヌ記念館」の新館が開業しました。カ子トさんの孫の晴道さん(24)が4代目館長に就任し、落成記念式典を開きました。
- 川村カ子トアイヌ記念館(Google Map) 写真/動画/360度ビュー(omotwnasi)
- カムイと共に生きる上川アイヌ(大雪山麓上川アイヌ日本遺産推進協議会)
〜大雪山のふところに伝承される神々の世界〜