成体のカエル(Frog)では、後期三畳紀(約2億1,700万年–2億1,300万年前)まで遡る化石記録に残っていますが、オタマジャクシは白亜紀(約1億4,500万年前)以前の記録はありません。今回、パタゴニアの中生代ジュラ紀(約1億6,800万–1億6,100万年前)の地層から、保存状態の良いオタマジャクシ(Notobatrachus degiustoi)の化石を発見しました。成体も巨大ですが体長が16cm近くあるオタマジャクシも巨大です。化石から変態するカエルの特徴的な2段階ライフサイクルがすでに確立されていたことが解りました。
- The oldest tadpole reveals evolutionary stability of the anuran life cycle(10/30 Nature)
- 進化:これまで知られている最古のオタマジャクシ(10/31 nature asia)
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マイモニデス大学(Universidad Maimónides)の生物学者マリアナ・チュリバー(Mariana Chuliver)氏らは、保存状態の良いオタマジャクシの化石を発見しました。頭部、大部分の胴体、および尾の一部が確認でき、目、神経、および前肢も見られることから、このオタマジャクシは変態の最終段階にあったことが解るとしています。
地球上のカエルやヒキガエルは、無尾類と呼ばれる尾のない両生類のグループに属します。水生のオタマジャクシが成体へと変化する2段階のライフサイクルは、無尾類の主な特徴の1つです。成体のカエルは、後期三畳紀の約2億1700万年から2億1300万年前に遡る化石記録に現れています。しかし、オタマジャクシは白亜紀(約1億4500万年前)以前には見られませんでした。
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a. 骨格の形態を強調: 短い露出時間、低角度の白色光で撮影。b. 軟部組織の形態を強調: 長い露出時間と高角度の白色光で撮影。c. 骨格と軟部組織の説明図: cl,頭蓋骨 e,眼 fe,大腿骨 fp,前頭頭頂骨 ma,手骨 n,鼻骨 ..など / CREDIT: Chuliver et. al. 2024.
発見された保存状態の良いオタマジャクシの化石は、ノトバトラクス・デギウストイ(Notobatrachus degiustoi)という種に属し、約1億6800万年から1億6100万年前の中期ジュラ紀に遡ります。ほとんどのオタマジャクシは体長が約1インチ(2.4cm)しかないので、体長が約6.2インチ(15cm超え)もある化石オタマジャクシは巨大だと考えられます。
ノトバトラクス・デギウストイのカエルの成体も多数が巨大とみなされており、無尾類の歴史の中で巨大化は複数回にわたって進化してきました。研究によると、この種はオタマジャクシとカエルの両方が巨大である数少ない種の一つだということです。
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