バッドアート美術館(Museum of Bad Art: MOBA)は、「他のいかなる場所でも展示されず、真価を認められることのない作品を生み出した芸術家の健闘を讃える」ことを理念に掲げる私設美術館(所蔵作品数600点)です。1994年に設立、ゴミの山から拾ってきた1枚の絵を友人たちにみせた古美術商のスコット・ウィルソンが、コレクションを始めてみてはどうかと薦められたのがキッカケだったそうです。
- Museum of Bad Art: MOBA(Website)
- Museum of Bad Art(Facebook) 写真
この作品「花咲く野原のルーシー」(作者不詳の油絵。ボストンのごみの中からコレクションに入った)は、いまもマスコミやファンからの人気が高いようです。美術館が初めてコレクションした作品になったときから、いまに至るまで「後世の人に自分を伝えよと命じる非常にパワフルな絵」のままであり続けています。この絵は、その後MOBAが作品を獲得するにあたって一つの基準となっています。
MOBAが獲得する作品の最大の要素は、誰かが芸術の名のもとで真面目に取り組んだ作品であるということです。アーティストとしての技術が不足していることは、コレクションにとって本質的ではありません。候補となる絵画あるいは彫刻は、理想的には「迫力ある生き生きした印象」をもたらすものであるべきで、あるいは「なんてこった」というクオリティーのアートであらねばならないとしています。さらに重要な基準として、絵画や彫刻が退屈なものであってはならないという点が挙げられるそうです。
MOBAでは、持ち込みの作品でも基準にかなえば収蔵品となります。キュレーターが検討に値するとみなすことが多いのは、創作に激しさや興奮をともないつつも、自分の技術水準との折り合いがついていないアーティストによる作品だそうです。MOBAは子供の手で産み出された絵画作品は集めていません。
MOBA作品は2点が盗難により失われたことがあります。この事件はメディアの注目を浴び、美術館の地位を高めることになったそうです。
1996年に行方不明になった絵画アイリーン(Portraiture #9 Eileen)はゴミの中から見つけてきた絵です。MOBAは「アイリーン」を返却してくれれば6.50ドル(約715円)の謝礼を出すと宣言し、のちに謝礼を36.73ドル(約4,040円)にまで上げましたが作品は戻ってきませんでした。
10年後の2006年に突然、窃盗犯がMOBAに接触し絵に5,000ドル(当時約58万円)の身代金を要求しています。この代金はまったく支払われなかったのですが、結局絵は戻ってきたそうです。
窃盗犯が、絵を買い取って貰う相手を見つけることが難しかったのではないかと推測しているそうです(^^)
米国のオークション会社が、受付から役員を含めて社員全員に、自分の得意分野で創作させて展示会を開いたそうです。創造性の理解を促進させるプロジェクトですが素晴らしいですね(^^) オークション会社は「創造性」が商品です。