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Hiroki Koga

植物工場の「おいしい」未来(TED: Hiroki Koga)

  • TED

建物の中で栽培したイチゴを、路地栽培のものより甘くできるでしょうか? 農業起業家の古賀大貴(Hiroki Koga)さんが模索しているのは、自社のチームが太陽光発電を利用した垂直農場にAI、ロボット工学、屋内養蜂を組み合わせて、一年中おいしいイチゴを栽培するための方法です。さらに、この取り組みを広め、どうすれば食の未来に成果という名の収穫を届けられるかを考えています。

Hiroki Koga
The sweet future of vertical farming | Hiroki Koga(TED)

当時、専門家からは植物工場は高価だし、葉物野菜しか栽培できないと言われていました。例えばレタスやケール、ほうれん草です。それ以外はミツバチを使って受粉させる必要があるからです。ところがミツバチは日の当たらない植物工場だとうまく働きません。それでもパートナーのブレンダン(Brendan Somerville)と一緒にこの問題に取り組むことを決意し、2017年に自分たちの手で最初の農場を作り始めました。

今世紀、人類が直面している世界最大級の問題、つまり農業システムの破綻を解決しようと固く決意していました。異常気象、水不足、耕地不足、農薬の多用、そして人口増に追いつかない労働力、これらすべてが世界の農業生産コストの一因となっています。植物工場はこれらすべての問題を解決することができます。農薬を一切使用せず、使った水はほぼリサイクルでき、耕作地も必要ありません。

The sweet future of vertical farming | Hiroki Koga(TED)

私に言えるのは、皆さんが今食べたイチゴは、5年前には1パック50ドルでしたが、今では10ドルで東海岸の100以上の食料品店で購入できるという事実です。私たちがここにたどり着くまで、5年かかりました。このペースでいけば、さらに5年後には何ができるか想像できるでしょう。

Oishii Farmには、環境のあらゆる側面を制御できる数十の栽培室があります。温度、湿度、CO2レベル、さらに光のスペクトルや風速まで、そのため、制御された環境下ではるかに効率的に実験ができます。さらに屋外の季節による影響をまったく受けないため、年間を通していつでも実験を開始できます。この方法を用いることで、1株に数粒しかならなかった果実を、わずか5年で5倍に増やすことができました。

The sweet future
The sweet future of vertical farming | Hiroki Koga(TED)

ミツバチの問題を解決するために、ブレンダンと一緒に多くの養蜂学者や専門家に話を聞きました。自分たちでも農場で長時間ミツバチを観察しました。たまに刺されながら最終的には、屋外農場と屋内農場の環境パラメーターをすべて抽出し1つずつ比較しました。そして2年後、ついにミツバチが働く秘訣をつきとめました。だから現在、私たちの農場では、酔っぱらっていないミツバチがすべての受粉をしてくれています。さらに、データサイエンスとAIの力で受粉成功率は95%を超えています。つまり、10輪のうち9輪以上の花が実になるということです(拍手)

つまり、データをAIやロボットと組み合わせると、従来の農場設備ではできなかったことが、いろいろできるようになるのです。さらに、植物の寿命を延ばす方法まで見つけました。以上の理由から、一見、屋外農業の方が安そうでも、私たちのイノベーションがはるかに速い上に、今までの農業ではできないことをやって効率を上げられるので、実際には従来の農業よりも、植物工場の方が安上がりになるのです。特に、従来の農業のコストがこれから上がっていくことを考えればなおさらです。

もし、無農薬で持続可能なおいしいイチゴが地元のスーパーで毎日わずか数ドルで手に入るとしたら、皆さんはどう思いますか? より「おいしい」未来だと思いませんか? ご清聴ありがとうございます(拍手)

Oishii Farm は、農業・食糧危機課題を解決すべく、世界最高峰である日本の農業・工業技術を基盤に、天候や風土、労働力不足に左右されずに、安全で圧倒的に「おいしい」果物・野菜を安定的にサステナブルに生産し、手頃な価格で消費者へ提供することを目指しています。

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