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Tessza Udvarhelyi

権威主義国家の中で民主主義を築くには(TED: Tessza Udvarhelyi)

  • TED

活動家テッサ・ウドヴァルヘイ(Tessza Udvarhelyi)はこう話します。「今日、ハンガリーは独裁と民主主義の中間にあります。これは一夜にして起こったわけではありません」。この熱のこもった講演を通してテッサは、どの国でも簡単に権威主義国家に近づき得ることを気付かせてくれます。そして集中と決意、想像力を通じて民主主義を生かし続けるための、実践的な教訓を伝えます。
(その後、TEDキュレーターのクロエ・シャーシャ・ブルックス(Cloe Shasha Brooks)との短い質疑応答があります)。

Tessza Udvarhelyi
How to Build Democracy — in an Authoritarian Country | Tessza Udvarhelyi | TED

権威主義国家に住むことと、カエルの共通点は何でしょう? 茹でガエルの比喩はご存じでしょう。水温を少しずつ上げると、カエルは気づかずに死ぬというあれです。過去13年間、ハンガリーはそうした状態にありました。40年間の社会主義を経て、私たちは1990年代に生ぬるい民主主義を始めました。民主主義の天国とは言いませんが、それなりに機能はしていました。

2010年、右派政権が権力を握り、その後3回連続で選挙に勝利しました。この政権は、私たちの文化の最も危険な側面を取り出し、それを政策の主軸に据えました。国家主義、人種主義、反同性愛、貧困層蔑視、「他者」に対する全面的な恐怖と不信です。今日、ハンガリーは独裁と民主主義の中間にあります。これは一夜にして起こったわけではなく、私たちの下でゆっくりと しかし強引に火力は上げられました。

人々がこう言うのを何度聞いたことでしょう。「政府もそこまではしない、そんなことは起こらない」と。ホームレスが憲法で犯罪とされるまではそう言っていました。「奴隷法」と呼ばれるほど反労働者的で、極端な搾取を許す労働法案が通過するまではそう言っていました。LGBTQの友人や家族が内なる敵とされ、同性カップルが二級市民と貶められ、子供を小児性愛から守るという名目で、学校での性教育が禁じられるまではそう言っていました。賃金や労働条件の実態を述べたことで、教師たちが解雇され検閲され脅迫され、質の高い教育を求めて抗議した高校生が、催涙ガスを浴びせられるまではそう言っていたのです。

Build Democracy
How to Build Democracy — in an Authoritarian Country | Tessza Udvarhelyi | TED

ハンガリーは世界最悪の国ではありません。欧州連合の加盟国ですし、高所得国の1つと見なされています。定期的な選挙があり、まだ独立系メディアもいくつかあります。しかし、国民に対する政府の関係や、政府に対するほとんどの国民の関わり方は、まちがいなく権威主義的です。多くの人が経済的理由のみならず、政治的理由で国を見限り去っていきました。

私が海外へ行き、ハンガリー出身だと言うと悲しげな顔をされます。そして聞かれます。「あの独裁者の名前は何でしたっけ?」(笑) 確かに、私たちの首相は反民主主義的指導者の象徴となりました。しかし、ハンガリーには別の顔もあります。その顔は 外界にはほとんど見えません。社会正義や環境正義、労働者の権利や質の高い公益事業等のために働く、多くの国民や機関で成り立っています。実はハンガリー人でも、この国の別の顔を知らない人が多く、それが変化への真の障害だと私は考えます。ハンガリーが持つ、別の顔の例を挙げましょう・・・

最後に「民主主義が奇跡のように、自然に機能するまでただ座って待っているだけではいけません。そんなことは起きません。誰かが民主主義を機能させてくれるのを待っていてもいけません。私たちハンガリー人が、自分たちの自由を求めて闘い、民主主義を再建せねばならないのと同じように、世界のどこにいようと、そこがぬるま湯だろうと、熱湯だろうと、誰もが行動しなければならないのです。手に入れた民主主義を享受しましょう。でも、そこに安住してはいけません。例のカエルを思い出し、今の水温が当たり前だと思ってはならないのです。ありがとうございました(拍手)


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