中国において雹嵐(ひょうあらし:hailstorms)発生日数が1850年以降増加していることを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載されています。約3,000年に及ぶ中国の歴史文献に基づく分析結果は、19世紀半ば以降の雹嵐発生日数の変動が気候変動によって引き起こされている可能性を示唆しています。最高排出量の気候シナリオ下では、2072年までに雹嵐発生日数が、2017年比で107%増加する可能性があると開発したAIモデルが予測しました。
- ひょうあらし(Google検索) 世界各地でも
- 歴史的データが示す中国における雹嵐発生日数の増加(9/3 Nature Communications)
- Climate impacts and future trends of hailstorms in China based on millennial records(9/2 Qinghong Zhang / nature)

Qinghong Zhangら(北京大学)は、中国の歴史書(紀元前886年から紀元1948年)の雹害記録、政府の雹害記録(1949~2000年)、および中国全土2,000以上の気象観測所による雹嵐観測データ(1950~2010年)を統合し、西暦1500年以降の雹嵐発生日数の変動を分析しました。著者らは、雹嵐発生日数が1700年代の年平均10日から1940年代の年平均60日へと増加したことを確認しました。
また、1500年から1948年の雹嵐データを用いて訓練したニューラルネットワークモデルを開発し、地球温暖化が継続するシナリオ下での将来の雹嵐発生日数を予測しまいsた。AIモデルは、最高排出量の気候シナリオ下では、2072年までに雹嵐発生日数が2017年比で107%増加する可能性があると予測しています。

2010年7月23日、米サウスダコタ州ビビアン(Vivian, South Dakota)では、公式記録としてに測定された最大直径:直径8インチ(20 cm)、円周18.622インチ(47.3 cm)重さ1.93ポンド(0.88 kg)の雹が降りました。アメリカ海洋大気局(NOAA)ではこれを世界最大としています。

2006年11月09日公開の下記YouTube動画は、米テキサス州ウッドソン(Woodson, Texas)でテニスボール大の雹が降った時に撮影されたものです。非常に危険な状態となり、自動車の中が安全ではないことが解ります。
記録が残っている中で世界最大の雹は、1917年(大正6年6月29日)に九州から関東にかけての広い範囲で激しい雷雨となり、埼玉県大里郡熊谷町(現:熊谷市)でも落雷、降雹(こうひょう)などにより大きな被害が発生しています。当時の「気象要覧(中央気象台)」によると、この時の雹の大きさが直径29.5 cm、かぼちゃ大、重さ約3.4 kgなどと表現されています。
また、「付近の田んぼに残っていた痕跡を調べたところ、驚くべきことに大きなものは地面に直径約65 cmの穴を開け、小さなものでもなお約15 cmの痕があった。このような状態なので、屋根や風が強くあたる部分は破損がはなはだしく、屋根、雨戸を突き破って屋内に入った雹の塊も少なくなかった。また、その形は扁平な球形で周囲が内側に巻き込み、まるで牡丹の花のようだったという」と記述されています。
- 大正6年(1917年)に降ってきた巨大な雹(ひょう)!(熊谷地方気象台)
- 気象要覧(大正6年6月)・該当部分の抜粋(pdf)