永久凍土(Permafrost)は、北半球大陸の約1/4になり、米アラスカ、カナダ、欧州北部、ロシアをまたぐ北極圏と北方林地帯に広がっています。さらに北半球ほどの規模ではありませんが、南半球でも南米アンデス山脈と南極大陸に存在します。日本でも、富士山頂上付近や北海道の大雪山、北アルプスの立山にも永久凍土があります。
永久凍土の温暖化は地球温暖化を加速させる可能性があります。永久凍土地域の気温では、2007年から2016年までの10年間で北アジアは0.33±0.16°C、北米では0.23±0.11°C温まっています。北極圏の永久凍土帯では0.37±0.10°C上昇、南極の永久凍土層でも北極圏と同程度に温暖化しています。
- Permafrost is warming at a global scale(16 January 2019 Nature Communications)
- International Permafrost Association(IPA)(Website)
永久凍土には、凍った大昔の植物や動物の死骸という有機物の形で、推定1兆7000億トンもの炭素が閉じ込められています。永久凍土が融解すると有機物が温められ、分解され、最終的に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)とメタンとして放出されます。永久凍土は大気のほぼ2倍の炭素を保持しており、その大部分をメタンとCO2が占めています。
メタンの温室効果はCO2の25倍です。閉じ込められていた永久凍土の温室効果ガスが大気中に排出されると、地球温暖化が加速し、さらに永久凍土の融解が進み、地球温暖化の悪循環に陥ってしまう恐れがあります。
2015年、米ウッズホール研究センター(Woods Hole Research Center)のスーザン・ナタリ(Susan Natali)研究員は、たとえ地球温暖化が2度前後の上昇に落ち着いたとしても、2100年までには永久凍土の30%が失われると指摘しています。
ナタリ氏は研究で、温室効果ガスの放出が現在のペースで続けば、永久凍土の最大70%が失われる恐れがあると指摘し、「永久凍土からの(温室効果ガス)排出により、地球温暖化がコントロールできない状況に陥ってしまう可能性がある」と警告しています。
- 「地球の時限爆弾」永久凍土溶解が引き起こす危機 温暖化ガスや病原菌放出(1/20 AFPBB News)
What is permafrost? What happens when permafrost thaws? This animation answers these questions. 永久凍土が融解するとどうなるか? アニメーションで説明。
- Alfred Wegener Institute, Helmholtz Centre for Polar and Marine Research(en:Website)
- 二酸化炭素以外の温室効果ガス削減の効果(地球環境研究センター)
メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロン類など