相手が人の話を聞いていないことを見分けるのは簡単ですが、良い聞き方とはどのようなものかを知るのは意外に難しいものです。良い聞き方とは、人間関係を良くし、世界観を広げ、人の心を変える可能性のある、人間社会では最も重要なことの一つです。では、どうすれば聞き上手になれるのでしょうか? ここではリスニングスキル(聴くスキル)を向上させるための方法について述べています。
行動科学の研究者たちは、聞き上手になる方法として単に一定間隔で微笑み、うなづくだけでは、あまり上手くいかないということを認識しています。傾聴にはパフォーマンスの要素があって、聞いているのだと示すことが重要と指摘します。話し手の言葉に積極的に注意を払うことに加えて、聞き上手は質問したり、表情や身振りも使い、理解度や理解したいという気持ちを表すことを必要とします。
友人があなたにパートナーとの問題について話したいとします。先ず会話を始める前に会話を妨げるものを取り除きましょう。テレビを消しヘッドフォンを外し、携帯電話を遠くへ置きましょう。ある研究では、携帯電話が視覚の中にあるだけで会話している人の親密さや、満足感を下げることが指摘されています。
自分の理解度を示す優れた方法として、聞いたことを要約し聞き逃したことが無いか尋ねることです。このような要約は、自分が本当に理解しようとしていることを話し手に示せます。また、沈黙を恐れないでください。返答をまとめる時間があってもいいですし、考える時間を少し取ることは、話し手が自身の話を振り返る手助けにもなります。
人は話を聞いてもらったと感じるときに、より大きな満足感や信頼感や相手との繋がりを感じると言います。職場では、話を聞いてもらえていると感じる従業員は、一般的に心身疲労が少なく、話を聞く上司のことをより好意的に感じます。
心理的リアクタンス理論によると、強制的に相手の気持ちを変えようとすると、相手は自分の考え方をより守ろうとするのです。しかし、最近の研究で「質の高い傾聴」は、主観で決めつけない心理的に安全な環境を作り出し、広かれた心を育むとしています。
もちろん、心を開いて傾聴することは相手の心を変えることではありません。良い傾聴とは同意と違いますし、好ましい解決をもって終える必要はありません。しかし、同意に至らなくても聞いてもらえることは、より深い会話を始めるのに十分な時もあります。
- Ryota Tsuchida, Translator Tomoyuki Suzuki, Reviewer(日本語字幕を読む)
- Search results for Kelso Harper(TEDEd)