世界では約7,000の言語が使われており、それぞれに異なる音、語彙、構造を持っています。でも、言語は私たちの考え方に影響するのでしょうか? 認知科学者のレラ・ボロディツキー(Lera Boroditsky)さんが、左右の代わりに方角を使うオーストラリアに住むアボリジニの言葉や、青を複数の語で言い分けるロシア語といった様々な事例を紹介し、この問いへの答えがイエスであることを示します。
言語の多様性が素晴らしいのは、人の心がいかに巧みで柔軟かを明らかにするからです。人間の精神は認知的な宇宙を1つではなく 7,000も生み出してきたのです。
アボリジニのクウク・サアヨッレ族の人々は、ヨーク岬半島の西端のポーンプラーウ(Pormpuraaw)に住んでいます。クウク・サアヨッレ語の面白いところは、「左」や「右」という言い方はせず、あらゆることを東西南北の方角で言い表すことです。文字通りに「あらゆること」を表します。「あら南西の脚にアリがいるわよ」みたいな言い方をするんです。あるいは「コップを少し北北東にずらして」とか、挨拶にしてもクウク・サアヨッレ語では 「どちらの方に行くの?」と言い、それに対する答えは「ちょっと北北東の方へ あなたは?」という具合です(笑)
最後に皆さんに考えてほしいことがあります。「異なる言語の話者がいかに違った考え方をするか」という話をしましたが、これは他所の人がどう考えるかということではなく、皆さんがどう考えるかということ、皆さんの使う言語が皆さんの考え方にいかに影響するかということです。
これは自問する機会を与えてくれるでしょう。「なぜ自分は、こんな考え方をするのか?」 「どうすれば違った考え方ができるだろう?」 あるいはまた「どんな考えを生み出したいと思うか?」 (拍手)
- TED Speaker/TED Attendee: Lera Boroditsky(Cognitive scientist)
- Japanese translation by Yasushi Aoki. Reviewed by Moe Shoji.(日本語字幕を読む)
- lera boroditsky(Website)
- 世界の見方が変わる5つの言語について(Gigazine)