2020年、世界中が新型コロナウィルスの脅威にさらされています。その中で特に低所得国を中心に甚大な経済的・社会的ダメージとして現れています。今年、国連WFP(国際連合世界食糧計画)は、「飢餓と闘う努力、紛争の影響を受けた地域の平和のための条件の改善への貢献、そして飢餓を紛争の武器としての使用を防ぐための原動力としての役割を果たした。」ことに対してノーベル平和賞を受賞しています。国際報道も新型コロナウィルス一色であったとして、Global News View(GNV)が、2020年に世界で起きている重要な出来事が必ずしもその規模や影響に見合った報道がなされていない出来事をランキングとしてまとめています。人道危機が、武力紛争と気候変動による影響、さらに新型コロナウィルスで急速に拡大して深刻化しました。
- 2020年潜んだ世界の10大ニュース(12/17 GNV)
- ノーベル委員会が平和賞に込めた「国際協調」というメッセージ(10/09 BuzzFeed News)
アフリカの中央サヘル地域に位置するマリ、ブルキナファソ、ニジェールなどで、これまでにないレベルの人道危機が起こっています。これらの地域は世界平均よりも速いペースで気温が上昇しており、予測不可能で頻発する洪水や干ばつなどの気候変動の影響を強く受けています。紛争や気候変動の影響を受けて、食糧生産がままならず、2019年の3倍にあたる約740万人が深刻な食料不足に陥っています。これに加えて国家の弱い統治力や武器の拡散、気候変動による水不足が原因となって紛争はなお悪化しており、国内避難民と難民は2020年には2年前の20倍以上の180万人に急増しました。さらに新型コロナウイルスの対策による経済の停滞などもあって、中央サヘルの3ヶ国の人口の5分の1に値する1,300万人以上が人道支援を緊急に必要としています。
10大ニュースの2位以下です。Global News View(GNV)の一読をお薦めします。
- 第2位 イエメン:紛争勃発以来最悪の人道危機に直面
- 第3位 グリーンランド:後戻りできないレベルで氷床の融解が進んでいることが発覚
- 第4位 バングラデシュ・インド:記録的な洪水が甚大な被害をもたらす
- 第5位 世界:乳児約50万人が大気汚染が原因で死亡
- 第6位 アフリカ:債務危機が深刻に
- 第7位 世界:バッタの大量発生による食糧危機が深刻に
- 第8位 エルサルバドル:かつて世界最高だった殺人率が半減
- 第9位 フィリピン・ベトナム:数十年で最も強い台風が連続して上陸
- 第10位 インドネシア:79の法律の改正に反対する大規模なデモが行われる
最新の研究では「グリーンランドの氷床が過去12,000年の中で最も急速に溶けており、毎年海に流れ出る氷の量に対し氷床を補充する降雪量が追いつくことのできない「転換点」を過ぎていることが明らかになった。」と報道されています。
- Greenland’s ice sheet is melting as fast as at any time in the last 12,000 years, study shows(9/30 CNN)
日本政府は、ブルキナファソ、チャド、ニジェールにおける治安状況の悪化を受けて、難民・国内避難民、受け入れコミュニティに対する支援として、総額120万米ドル(約1億2,700万円)の緊急無償資金協力の実施を決定しました。
中央サヘル地域は、世界で最も急速に拡大している人道危機に直面しています。民間人に対して無差別に行われる武装集団による攻撃(無差別の暴力、ジェンダーに基づく暴力、学校や保健施設を含む公的機関への攻撃など)の影響を受け、故郷から逃れる人は数百万にもおよんでいます。