集団免疫(herd immunity)とは、ある感染症に対して集団の大部分が免疫を持っている際に生じる間接的な保護効果であり、免疫を持たない人を保護する手段です。1930年代に多くの小児が麻疹(はしか)に対して免疫を獲得すると、免疫を持たない小児の間でも新たな感染の数が一時的に低下することが観察され、自然発生する現象として認識されています。専門家は、新型コロナウイルスについてもワクチン投与による「集団免疫」により終息することを期待しています。
- ワクチン(Google検索) 新型コロナウイルスのワクチン開発
この図は「集団免疫」を説明している「感染症拡大のモデル」です。上段と中段の例では免疫のない(青)人々の大部分は感染してしまいますが、下段(集団免疫の状態)では、免疫を持っている人(黄)が免疫のない人(青)をガードしており 1/4にしか感染が広がりません。
YouTubeは、Herd immunity(集団免疫)を解説しているアニメーションです。集団免疫は、ワクチンを投与できない新生児や免疫システムが弱い高齢者、ガンや臓器移植などで免疫システムを弱める治療をしている人、ワクチンが効かない人たちについても感染(病気)から守るように作用します。
- Herd immunity (Herd protection)(Oxford Vaccine Group 2020) 日本語変換あり
下図は最近マスメディアでも頻繁に見る図ですが、「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」でも使用されています。治療薬やワクチン製造の時間を確保するため重要な戦略です。
1)感染拡大を抑えて、流行のピークを遅らせ、医療体制の整備やワクチン製造のための時間を確保する。
2)流行のピーク時の患者数等をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減する。
3)医療体制の強化を図ることで、患者数等が医療提供のキャパシティを超えないようにすることにより、必要な患者が適切な医療を受けられるようにする。
ニューヨーク在住のりばてぃさんが、分かりやすいイメージ図「Flattering The Curve」を説明し、「専門家の希望する終息のあり方」をNBCニュースが報じているとして記事にしています。
2009年に新型インフルエンザの大流行がありました。どのように報道(情報伝達)されたかを振り返っています。手洗いなどの「感染の予防」や「咳エチケット」の励行を促すとともに、「マスクが品切れになるマスク・パニック」や「未知への恐怖で誹謗中傷」などもありました。過熱報道につながった経験をいま一度省みる必要があるように思います。
- インフルエンザ大流行。日本から失われた「集団免疫」とは?(5/11,2018 huffpost)
- 2009年新型インフルエンザ-「未知の感染症」をどのように報じたのか?-(内閣官房)